澪ちゃんどうしたんだろう。
病院に戻る車の中、私は窓の外を眺めていた。
春乃に会えた。
みんなにも会えた。
たくさん話せたわけじゃない。
聞きたいことも、話したいことも、まだまだあった。
それでも、嬉しかった。
「……楽しかったな。」
ぽつりと呟くと、お母さんがこちらを見た。
「よかったね、結香。」
私は頷いた。
今日のこと、澪ちゃんにも話したい。
春乃がね、私に会えて嬉しいって言ってくれたんだよ。
また学校に来られるかって聞かれたんだ。
それからね――。
話したいことが、次々と浮かんでくる。
澪ちゃんだったら、どんな顔をするだろう。
きっと笑って聞いてくれる。
もしかしたら、一緒に喜んでくれるかもしれない。
早く会いたい。
病院に着くと、私は部屋に戻って少し休んだ。
思った以上に疲れていたらしい。
けれど、頭の中は今日のことでいっぱいだった。
時計を見る。
まだ、お昼には少し早い。
早く澪ちゃんに会いたいな。
そう思いながら、私は昼食の時間を待った。
看護師さんに車椅子を押してもらい、食堂へ向かう。
入口に着くと、私は思わず中を見渡した。
……いない。
いつもの席にも、入口の近くにも、澪ちゃんの姿はなかった。
今日も、来ていないんだ。
胸の奥が、すっと冷たくなる。
昨日も、一昨日も会えなかった。
今日は学校であったことを話せると思っていたのに。
「……そっか。」
小さく呟いて、いつもの席に向かう。
春乃に会えた嬉しさは、ちゃんと残っている。
それなのに、澪ちゃんがいないだけで、こんなにも寂しい。
せっかく、話したいことがたくさんあるのに。
私はテーブルに視線を落とした。
澪ちゃん、どうしたんだろう。
明日は会えるかな。
そう考えて、すぐに首を振った。
期待したら、また寂しくなるかもしれない。
それでも。
「……澪ちゃんに、会いたいな。」
誰にも聞こえない声で呟いた。




