きっと大丈夫。
話したい、話したい。
そう思うのに言葉が出せない。お母さんは、私の嗚咽混じりの声を、言葉を、真剣に聞いてくれた。今までのことを考えるだけで、どんどん不安になっていく。私は今までの全てを話した。力が入らないこと。シャーペンを持つのが怖いこと。そして、全てが一本の線になっていったこと。その時の恐怖も、違和感も、見ないふりはできなくなってしまったこと。
全て話し終えると、お母さんはゆっくり口を開いた。
「明日、病院行ってみよう。」
分かってた。絶対、行った方がいいって。
でも、怖かった。嫌な予感が現実になることが。
違和感が違和感で終わらなくなることが。
夜になると、お父さんが帰って来た。帰って来たお父さんは、もう、今の私を知っていた。お母さんが電話してくれたんだろう。
「病院行ってらっしゃい。きっと大丈夫だから。」
私はその「大丈夫」を信じるしかなかった。
いつもは長い夜が今日はとても短いと思った。
朝になると、お母さんが私のベッドに座っていた。
笑顔で「おはよう」とだけ言って、出ていってしまった。私には分かった。母の笑顔の奥には不安があった。私も、「大丈夫」そう思ってるはずなのに、心の底からはそう思えなかった。
母の出す車で、病院へ向かった。家の近くにある、整形外科に行ってみた。病院は空いていて、すぐに私の番が来た。先生に相談すると、すぐに問診が始まった。いつからおかしいと思ったのか。痛みや痺れはあるか。聞かれたこと、一つ一つ丁寧に答えていった。診察で、筋力が正常にあるか、テストした。上からの圧に耐えられるか。たったそれだけ。左手、クリア。問題は、右手の方だった。全力で、耐えているのに、すぐに先生の押す力に負けてしまう。素人の私でもわかる。明らかに筋力が低下している。言葉じゃ表せない、衝撃だった。




