曇り
朝、目が覚めると、窓の外は曇っていた。
昨日は、あまり眠れなかった。
考え事をしていたら、いつの間にか夜が明けていた。
「……おはようございます。」
看護師さんに挨拶をして、朝食を食べる。
今日は、いつもより食欲がなかった。
でも、お昼になれば澪ちゃんに会える。
そう思うと、少しだけ気持ちが明るくなった。
11:30。
いつもの待ち合わせ場所に着いた。
澪ちゃん、来るかな。
食堂の入り口を見つめながら、ゆっくり待つ。
いつもなら、すぐに聞こえてくる声。
「結香ちゃん〜!」
今日は、それが聞こえなかった。。
明日は来られないかもしれないって言ってたな。
やっぱり、無理だったのか。
「……そっか。」
分かっていたはずなのに。
覚悟していたはずなのに。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。
今日のお昼は、何にしよう。
和食と洋食。
どっちも美味しそうなのに、今日は全然、選ぶ気になれなかった。
一人で食堂に入る。
いつも澪ちゃんと座っている席が空いていた。
そこに座ろうとして、やめた。
別の席に座って、お昼ご飯を机に置く。
「いただきます。」
小さく呟いた声は、誰にも届かなかった。
食べながら、昨日のことを思い出す。
『また会う日まで』
そう言って、笑った。
澪ちゃんも笑っていた。
でも、少し寂しそうだった。
……何かあったのかな。
聞きたい。
でも、聞けない。
澪ちゃんがどこにいるのかも、何をしているのかも、私には分からない。
食事を終えて、食器を片付ける。
今日は、どうしよう。
中庭に行けば、少しは気が紛れるかな。
そう思ったけれど、足が動かなかった。
「……澪ちゃん。」
口に出してみても、返事はない。
病院には、たくさんの人がいる。
看護師さんも、患者さんも、家族も。
それなのに。
どうして、こんなに寂しいんだろう。
病室へ戻った。
明日は、会えるかな。
そう考えて、すぐに首を振る。
期待して、また会えなかったら、きっと、今日より寂しくなるから。辛くなるから。
私は窓の外を見つめた。
空は、まだ曇ったままだった。




