どこかに1人置いてかれるような気持ち
リハビリは、朝ごはんを食べたら直ぐなので、食べ終わったら、急いで準備を始める。
車椅子に移るために、ベッドの柵を掴む。
今日は力入るかな。
恐る恐る腕に力を入れてゆっくり体を起こす。
入った!!
最近は、こういう動作にも時間がかかる。
それでも、昨日より少しでもできることが増えていたらいいな。そんなことを考えながら、車椅子を押されて、リハビリ室へ向かった。
リハビリ室に着くと、夏希先生が待っていた。
「おはようございます。今日もよろしくね。」
「よろしくお願いします。」
そう答えて、車椅子からベッドへ移る。
今日は何をするんだろう。
リハビリが始まる前は、いつも少しだけ緊張する。
昨日できたことが、今日もできるとは限らないから。
「じゃあ、まずは足を動かしてみましょうか。」
先生に言われ、私は足に意識を向けた。
動かそうと思えば、動く。
でも、思うようには動いてくれない。
もっと力を入れようと思っても、足は私の気持ちには応えてくれなかった。
「大丈夫ですよ。ゆっくりでいいですからね。」
先生の声に、小さく頷く。
ゆっくりでいい。焦らなくていい。
頭では分かっている。
でも、「時間をかけなきゃできないこと」が増えていくたび、どこかに1人置いていかれるような気持ちになる。
みんなは今頃、学校で授業を受けているのかな。
春乃たちは、何を話しているんだろう。
そんなことを考えてしまう。
いや、だめだ。今はリハビリに集中しないと。
慌てて目の前の足に意識を戻した。
今日できることを、明日もできるように。
そう思って、私はもう一度、足に力を込めた。




