迷惑かもしれないけど。行きたい。
病室に帰ってくると、一気に肩の力が抜ける。
今は、ここが私の家。そう自分に言い聞かせる。
本当の家に帰りたいけど、我慢。
わがままなんて言えるわけない。困らせたくない。
そんな気持ちが、私の心をいっぱいに埋め尽くす。
「退学」か。
これ以上無理に学校に席を置いても無駄にお金がかかるだけ。だったら退学してしまった方が話は早い。
でも、そしたら、春乃達と学校で会えない。話せない。
ここに来てから、この病院に来てから、考えを休む暇がない。いつも何かに悩んでる。そんな気がする。
仕方がないか。だって日常がいつも通りがどんどん崩れて、無くなっていくんだもの。そりゃあ悩むことも多い。それこそ「当たり前」だ。
もう、退学のことは、お母さんとお父さんに任せよう。そっちの方がずっと楽で、疲れない。
そう思いながら、私は目を閉じた。
朝、目が覚めると起床時間5分前だった。
もう、外は明るい。今日は、リハビリあるのか。
今日もお昼ご飯は食堂行ってみよう。
「今日」のことだけを考える。
起床の合図が鳴る。看護師さんが入ってきて、体温と血圧を測る。そのあとは朝ごはん。もう慣れた生活。
トイレに行くために、ベッドから降りる。立つために、ベッドの柵を掴む。掴んだつもりだった。
「ズル!」
手が滑る。というか強く掴めない。
足も、立とうとするけど、力が入らない。
膝から崩れ落ちちゃう。あぁ、今日は動けないな。
そういう日はベッドの上で大人しく過ごさなきゃ。
これじゃ、食堂行けないや。
でも、行きたいな。そうだ。車椅子で行こう。
看護師さんにお願いして、車椅子押してもらって。
迷惑かもしれないけど。行きたい。そう思った。




