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「退学」

5分前になると、お母さんが病室に来て、私の車椅子を押してくれた。学校を歩くのは、「さすがに危ないから」とドクターストップがかかってしまったらしい。

「歩けるんだけどな。」

そう思ったけど、みんなに迷惑がかからないように、

おとなしく車椅子に乗った。

車には、お父さんが待機していて、一緒に学校に行くようだった。緊張するなぁ。もしかしたら、バスケ部の春乃は残ってるかも。会えるかな。そんな期待を少し胸にして、学校に行った。


しかし、そんな甘い話ではなかった。


担任の先生と学年主任の先生が出迎えてくれた。職員室までは、バリアフリーで階段の隣にスロープがあるので、車椅子で学校に入る。私が、定位置に着くと、担任の先生が話し始める。

「えぇ、結香さんですが、これ以上学校に来れないとなると、卒業するのは難しいです。」

そっか。そうだよね。

「席がある状態がいいなら、このままで大丈夫です。それだと、学費を払い続けなければいけません。

ですから、「退学」という選択肢があることも知っておいてください。」

あぁ、また私の居場所が無くなるんだ。そっか。

遠回しに「さっさと退学しろ」って言いたいんでしょ?病気のことを説明してるから、学校に行けないこと知ってるんだ。なんか、嫌な感じ。

どうせなら、「退学です。」ってストレートに言ってくれた方がいいのに。

そしたら、変に辛くならないのに。


「分かりました。考えておきます。」

そう、お父さんが言うと先生は、私を見た。

「結香さん、今度、病院にも伺いますね。」

それだけ言うと、担任の先生は私達を外まで案内した。

結局、春乃にも会えなかったし、「退学」だし。

きっと、いつかそうなるんだろうなと思ってた。

「いつか」が「今日」に変わっただけ。

だから、大丈夫。病院内に友達もできそうだし。

きっとなんとかなるよ。大丈夫、大丈夫。

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