もう日常には戻れないの?
「あぁ、みんなが私を呼んでる。」
目を開けなきゃ。そう思うのに、私はそのまま意識を失った。
気がつくと、真っ白で綺麗な天井が見えた。
慌てて起き上がると、隣にはお母さんがいて、私を見て泣いていた。
「っ痛」 頭がとても痛かった。
周りを見て気がつく。
「ここは、病院?」
私の腕には、点滴の管が1本、繋がっていた。
私は、やっと自分が階段から落ちたことに気づいた。
すると、病室に夏希先生と、もう1人、男の先生が病室に入って来た。名札には「秋山真司」と書かれていた。
真司先生は救急科で、私の頭の傷の処置をしてくれたらしい。もちろん記憶はなかった。だから、頭が痛かったのか。そこから、真司先生が私の今の状態を説明してくれた。頭の皮膚が切れていたものの、頭蓋骨や、脳に損傷は無かったらしい。考えただけでグロいのに、それが私の体に起こったことなんて信じられなかった。
咄嗟に腕で頭を守ったからか、縫うのは5針だけだったそうだ。階段から落ちた割には軽傷だったらしい。その代わり、私の腕は、たくさんのあざと点滴のチューブでいっぱいになっていた。確かに、よくドラマで、階段から突き落とされて、殺されるシーンあるもんな。死ななかっただけ、よかった。そんな物騒なことを考えてしまった。
でも、私には夏希先生に、どうしても聞きたかった。
また、シャーペンの時と、同じ不安と恐怖に襲われる。
私は、消えそうな、細い声で言った。
「なんで、足にまで、力が入らなくなっちゃったの?」




