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透明な神経の向こう側  作者: poruru09
第1A部 パトグラフィ

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●躁うつ質と分裂質

 古代から、躁うつ病と分裂病(統合失調症)は人間の二大精神疾患と言われてきた。躁うつ質というのは、躁うつ病とまでは言えないが病気あるいは障害のある状況と健康な状況の中間にある躁うつ状態のことをさす。同様に、分裂質は分裂病的状況と健康な状況の中間にある分裂状態のことをさす。(現代では分裂病という言葉は差別的であるとされていて統合失調症という言葉に置き換えられている。しかし、人間の精神状態を表すのに「分裂」という言葉はイメージしやすいので、本書では便宜的に採用しておく。)

 クレッチュマーは、人間の精神的特質を「躁うつ質」「分裂質」「粘着質」の三つに大別して、自閉的性質は分裂質に分類している。これはアスペルガー症候群が発見される前のことなので、現代ならクレッチュマーは人間の精神の大別分類として、「躁うつ質」「分裂質」「粘着質」「自閉質」の四つに分類していたのではないだろうか。


 ちなみに、ASD(アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如多動性障害)からは何故か天才タイプが発生してくることが多い。アスペルガーは自閉スペクトラムの程度にもよるが、「心の理論(Wikipedia参照)」として知られているように、対人コミュニケーションが非常に不得手である。

 それは(言語を媒介としない)曖昧な事象を取り扱うことが苦手であるからだ。ふつうの人なら他人と会話しているとき、相手の話し言葉の他に、相手の表情や身ぶり手ぶり、相手が緊張しているか気を許しているかなど全体の情報を読みとって、相手が話している内容の真意を総合的に判断している。アスペルガーにはこれができない。会話の中で相手が話してきた情報を、一字一句その通りに受けとめて解釈する。それゆえ相手との間に誤解やすれ違いが生じやすい。

 ただし、この代償機能として物事を0か1かに切り分けて考える能力、すなわち論理的思考力が幼少期から青年期にかけて、大幅に発達していくケースも存在する。このタイプは、コンピュータープログラマー、数学者、工学者などに向いている。


 注意1:本書ではサヴァン症候群は除外する。

 注意2:アスペルガーであっても訓練を受けることによって「心の理論」を獲得するケースが存在する。ただし健康な標準的精神の持ち主とはちがって、独特な方法で他者の心の内を推察する。そのうちのひとつは言語能力を介して推察する方法で、この場合、直観的に答えをだせる健康な人よりも時間はかかるが、より道をしながら正解に到達する。つまり見かけ上健康人に「擬態」する。利点は幼い時から言語能力を駆使した生活を送っているため論理的思考力が飛躍的に伸びることが期待できる。


 また、アスペルガーは人に対しては心を開いていないが、人以外のもの(例えば自然、すなわち動植物)には心を開いているケースがあって、この場合、通常人よりも多くのメッセージを自然から受け取っている。これは苦手とする人間そのものと関わるよりもそちらのほうに関心を向けたほうが困難を減らして快適に暮らしていけることを幼少の頃から経験的に学ぶためと思われる。このような子どもの場合、自然の中にふつうの人なら気づかないようなものを見つける可能性が高まる。この状況と感受性および知能の高さが組み合わさった場合、創造的業績につながることも珍しくない。


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