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透明な神経の向こう側  作者: poruru09
第1A部 パトグラフィ

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●パトグラフィとは

 パトグラフィ(病跡学)というのは、主に過去の天才たちを分析対象として、個々の業績または創作および研究過程と生活面における心理的・精神病理的変動を追跡・調査して、天才性の秘密を暴き出そうという試みである。実際には、天才でなくとも「アウトサイダーアート」の展示会でもわかるように、独創的な創作活動とその人の精神構造には密接な関連がある。パトグラフィの研究に過去の天才が選ばれやすいのは、

(1) 有名人ならば、知人たちとの往復書簡、日常生活でどのような行動が顕著にみられたか、どんなことを考えていたかの記録が詳細に残っているので追跡調査しやすい。

(2) すでに故人となっているので、人権侵害の問題を気にせず研究ができる。

が理由として挙げられる。


 パトグラフィ研究の古典的名著と呼ばれているのがエルンスト・クレッチュマーの『天才の心理学』と、W・ランゲ・アイヒバウムの『天才 創造性の秘密』の二冊だ。この項ではこの二冊を主な拠りどころとして話をすすめていく。両者の違いは、クレッチュマーの研究は個々の天才の精神史に肉薄していって全体として何が言えるかというアプローチ手法であるのに対し、アイヒバウムの研究は社会科学的で「大勢の人々(民衆)は、どのような人間を天才として認識するのだろうか」というアプローチ手法であり、クレッチュマーとは対照的な観点なのでこの二人の成果はパトグラフィ研究の双璧をなしている。

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