↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
63/71

模倣と違和感

翌朝。


魔族の里の広場では、すでに数人の魔族が集まっていた。


中央には――例の棒。


そしてその周囲には、木片や削りかけの枝がいくつも転がっている。


銀髪の魔族がしゃがみ込み、一本の枝を手に取る。


「長さは……これくらい」


横で若い魔族が言う。


「太さも似せた方がいいな」


年長の男は腕を組み、静かに見ていた。


「形だけ真似ても意味はない」


その言葉に、銀髪の魔族が振り返る。


「分かってる」


「でもまずは試す」


削った枝を地面に置く。


足を乗せる。


コロ……


コロ……


少し沈黙。


「……どうだ」


「……うーん」


銀髪の魔族は首を傾げた。


「悪くないけど」


「昨日のやつと違う」


周囲がざわつく。


別の魔族も試す。


コロ……


コロ……


「……弱いな」


「効いてるけど浅い」


年配の魔族がゆっくり言う。


「ただの形の問題ではないな」


銀髪の魔族は本物の棒を手に取った。


そしてもう一度試す。


コロ……コロ……


「……やっぱりこっちの方がいい」


年長の男が言う。


「削り方か」


「それとも木の種類か」


年配の魔族は静かに考える。


「いや」


少し間を置いて言う。


「使い方だ」


周囲が顔を上げる。


「人間はどう使っていた」


銀髪の魔族は思い出す。


「力を入れすぎてなかった」


「ゆっくり動かしてた」


「呼吸も……落ち着いてた」


年長の男が頷く。


「なるほど」


若い魔族が言う。


「じゃあ」


もう一度試す。


今度は力を抜く。


ゆっくり。


コロ……


コロ……


「……あ」


表情が変わる。


「さっきよりいい」


周囲の空気が少し変わる。


年配の魔族が静かに言った。


「道具ではないな」


「技術だ」


銀髪の魔族が笑う。


「うん」


「人間は“使い方”まで含めてやってる」


年長の男が遠くを見る。


「だから効果が出る」


しばらく沈黙。


焚き火の煙がゆっくり空へ上がる。


年配の魔族が決めるように言った。


「これは」


「人間の知識だ」


そして静かに続ける。


「奪うものではない」


「学ぶものだ」


銀髪の魔族がにやっと笑う。


「じゃあ決まりだね」


銀髪の魔族が立ち上がる。


「会いに行こう」


年長の男が言う。


「誰にだ」


彼女は少しだけ考えてから答えた。


「……あの棒を使っていた人間」


「一番、自然に扱っていたやつ」


「多分、あれを広めた人」


男は静かに頷く。


「観察からだな」


「いきなり接触はしない」


「うん」


銀髪の魔族は笑う。


「でも」


「面白くなってきた」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。