公の場での対峙
その日の午後。
三人は王の命により、
謁見の間で弁明の場に立たされる。
片側に神官団。
反対側に宮廷医師たち。
中央に調律所の三人。
大神官が一歩前に出る。
「陛下。
あの者たちの行いは、
“呪い”を神の領域から切り離すものです」
「切り離す、とな?」
「はい。
人々が“呪い”と恐れてきたものを、
身体の状態だと説明する。
それは、信仰の根を揺るがします」
ユウトは静かに前に出た。
「俺たちは、信仰を否定していません」
「ならば何だと言うのだ?」
「祈りと、身体のケアは、両立できる。
神に祈る心と、
身体を整える行為は――
敵対しない」
宮廷医師が冷ややかに言う。
「ではなぜ、薬を使わぬ?」
「必要なときは使うべきです。
ただ――
すべてが薬で解決するわけではない」
ざわめき。
リュウが続ける。
「動けない身体を“呪い”だと言って放置する方が、
よほど人を傷つける」
ミリアも、震えながら声を上げた。
「わ、私の魔法は弱いです……
でも、強く人を傷つけないからこそ、
安心して使えるんです……!」
沈黙。
王は、長く考えた末に口を開いた。
「神官よ。医師よ。
そなたたちは“正しさ”を守ってきた」
そして――
「だが、正しさが人を縛るなら、
それは見直されねばならぬ」
王は、はっきりと告げる。
「余は、調律所を支持する」
その言葉は、
王城に静かな衝撃を走らせた。
夜。調律所。
「……敵、できましたね」
ミリアが小さく言う。
「できたな」
リュウが短く答える。
ユウトは、静かに言った。
「でも、ここで引いたら――
楽になった人たちを裏切る」
ミリアは拳を握る。
「……私、弱くても続けます。
それでも、人を楽にできるなら」
三人の間に、
揺るがない決意が生まれた。
こうして――
調律所は、国の中心であり、
同時に“思想の衝突点”となった。




