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第12章: 同じ血を分けた者同士の戦いが

パウ


トミーが俺の胸を殴った。躊躇いもなく、迷いもない。純粋で剥き出しのトータライザーの力だけだった。


俺の体は後方へ吹き飛んだ。壁もテーブルもガラスも、俺の通り道で粉々に砕けていく。家の反対側に穴が開き、そこから陽光が差し込んできた。


俺は木に叩きつけられ、背中から着地した。衝撃で少し血を吐いてしまう。すぐさま息を吸い込んだ。胸には拳の跡が深くめり込んでいた。


「マジかよ……」俺は立ち上がり、口元の血を拭い、ズボンについた草を払った。


だが、払い落とす前に、土が勝手に剥がれ落ちていく。俺は何もしていないのに。


「あ?」さらに草がこぼれ落ちる。


その時気づいた。俺の脚が震えていて、それで草が落ちていたのだと。震えは徐々に強くなっていく——まるで地震が近づいてくるかのように。


「クソッ!」前方を見ると、一人の男がこちらへ向かって飛んできていた。彼が一メートル進むごとに大地が揺れ、通り過ぎた場所の草が跳ね上がる。


前腕を上げる暇もほとんどないまま、奴は目の前に迫っていた。悪魔のような笑みを浮かべて。


「痛ってぇ!」衝撃波を纏った右フックが、俺を吹き飛ばした。


防御なんて、ほとんど意味がなかった。


俺は森の端から端まで吹っ飛ばされた。木という木が揺れ、鳥たちが飛び立つ中、俺はその一本一本に激しく叩きつけられていく。


一本目で、脚が捻れるのを感じた。


二本目では、鼻から突っ込んだ。それでも勢いは止まらない。


そして三本目、四本目、五本目……数えるのをやめた。


めちゃくちゃ痛い。それだけは確かだ。


体は地面を何度もバウンドし、その度に勢いを失っていき——やがて、周囲を木々に囲まれた平らな空き地に辿り着いた。


そこでようやく止まった。ちょうど中心だった。どの方向を見ても、木々まで三十メートルほどしかない。


この木々は……松か? それともユーカリか? ハハ、前世でもっといろんなことを学んでおくべきだったな。人生の使い方なんて、他にいくらでもあったのに。


く、クソッ、こんな時にそんなことを考えるな!


視界がぼやける中でも、俺は立ち上がった。鼻から血が滴っていたが、そんなことはどうでもよかった。意識は別の場所に向いていた。


二十メートル先、木々の間から現れる影。


「もったいない話だ」筋肉の塊のような男が木々の間から姿を現し、ゆっくりと重い足取りで空き地に入ってきた。


「そういえば、お前、何歳だ? 16か? 17か?」


「何の話だよ」俺は答えた。今にも崩れ落ちそうな体を叱咤しながら、奴の一挙一動に集中しようとする。


「俺はお前くらいの年齢の頃には、もうとっくにこんなくだらない村を離れていた。将来の計画も構想もあって、すでに自分の伝説を築き始めていた。今じゃ、お前らの国王に近い立場だ」


男は空き地の端で足を止めた。「だがお前は……ずっとこんな場所で人生を終えるつもりらしいな。チャンスもあって、力もあるのに、ただの村人として生きることを選んだわけだ」


「守るべき家族がいる。大切な人たちがな」俺は即座に返した。


「ハッ」男が笑う。「それがお前のトータライザーの心臓の使い道か。だったら俺に感謝するんだな。お前の祖父にはこんな力なんてなかったんだから」


「お前はただの傲慢なクソ野郎だ……」


「それは事実かもな。だが、俺はそれに値する。傲慢でいる権利を、俺は自分の力で勝ち取ったんだ。俺は自分の生き様に誇りを持っている。それのどこが悪い?」


男は両腕を広げ、招くような仕草をした。「さあ、全力で来い。家族を守るという覚悟とやらを、俺に見せてみろ」


俺は唇を噛んだ。


——こいつが……こんな化け物を、父親と呼べというのか?!


いや……違う。こいつは死ぬべきだ。前回と同じ過ちは繰り返さない!!!


俺は駆け出した。拳を引き絞り、怒りの全てを込めて。


ドガッ


鼻に直撃。人生で一番本気の一撃だった。


男の頭が仰け反る。頬に黒々とした痣が浮かぶ。


だが、奴は一歩も下がらなかった。そして、痛かったのは間違いなく奴よりも俺の方だった。


「へへ」男は顔を戻す。俺がこれまで見た中で最も邪悪な笑みを浮かべながら。


「まあ……もっと酷いのを食らったこともある」


——く、クソ、近すぎる——


男が俺の髪を掴み、逃げることを許さなかった。


「お前がどうなり得るか、見せてやるよ」


ガンッ


膝が俺の顔面に叩き込まれた。片手は俺の髪を掴み、もう片方は背中に添えて。


一瞬、意識が飛んだ。目が白目を剥く。鼻の骨が砕け、肌はぐちゃぐちゃに潰れたような感覚だった。


動けなかった。ただ体を折り曲げたまま、間抜けみたいに叫び続けるだけだった。震える左手を鼻に当てる。今にも倒れそうだった。


「見ろよ」男は心底満足げに言った。「これが、賢く生きた末路だ。人生の全てを自己研鑽に、社会的な成り上がりに捧げた者が得るもの。もっと上を望んだ者が得るものだ」


反応することもできず、俺はかろうじて顔を上げた——そこに、また拳が飛んできた。


---


ニコの視点


サルセド家……はぁ、目の前のこの子、マジで信じられない。年を重ねるごとに成長するどころか、いつも通りのまま変わらない。


いや、まあ俺の中身が大人だからそう感じるだけかもしれないけどな。六歳児と九歳児なんて、基本的に精神年齢は同じようなもんだろ? 子供と関わった経験なんてほとんどないから、発達がどうなってるのかさっぱりわからん。三歳から十一歳くらいまで、思春期前は精神年齢がずっと同じままなんじゃないかって、勝手に思ってた。


いや、違うな。その説はパタで完全に論破される。年を追うごとに、ちゃんと成長していくのがわかる。五歳の今なら、二歳の頃みたいに髪の色のことで泣いたりしない。


目の前に座っているこいつとは、正反対だ。


「ニコ、私の新しい魔法見せてあげる!」エヴァが千回目くらいの台詞を叫ぶ。目を輝かせながら。


「チッ、お前それしか言わねえのかよ! パタの方が魔法上手いってわかってから、ずっとそればっかりじゃねえか!」


「だって当然でしょ!? 今は彼女を超えたいの!」


エヴァは腕を組み、自分の立場を思い出したように言う。「べ、別にあんたの助けなんて要らないんだからね……で、でも、誰かに魔法を認めてもらえたら、それはそれで面白いかなって」


……変な奴だな。


それでも、彼女の何かが妙に気になった。


「エヴァ、ちょっと聞いていいか?」


「う、うん、いいけど」


「その、パタが魔法の天才だってわかってから、お前はずっと彼女に勝つことばっかり考えてるだろ」


「当然でしょ!」エヴァは笑みを隠しきれない。「彼女を超えたいの!」


「でも……嫉妬とかしないのか?」


「嫉妬……?」エヴァが俺に指を突きつける。「ちょっと、それって罪じゃない! 私のこと罪人だって言いたいわけ!?」


「いや、そうじゃなくて……お前の立場なら、普通は落ち込むもんだろ。結構嫉妬しても仕方ない。『私が姉なのに、なんであの子の方が強いの』みたいな。それが普通の反応ってやつだ」


「そうなの?」エヴァは頬を掻く。「そんなこと、考えたこともなかった」


「なんつーか、お前は天才じゃないこととか、妹より下手なことを、むしろ気に入ってるみたいに見えるんだよ。誇りって感じでもないし——超えたいのに嫉妬はしないって、あんまり筋が通らない気がして——」


「パタが私より上手いのは嬉しいの!!!」エヴァの目が輝く。「だって、そうすれば私が追い越した時に、もっと最高な気分になれるじゃない! それに、『ウサギとカメ』の話、読んだことないの!? カメはいつだって勝つのよ!」


は? いまいちよくわからなかった。だが、単なる嫉妬より、よっぽど健全な考え方な気がする。それは認めてやってもいい。もしかしたら、思ってたより少しは大人なのかもな。


「こんにちは」


パタだった。エヴァの居心地の良い部屋に入ってくる。俺たちは床に座って人形遊びをしていたところだった。


そう、人形だ。この世界だと、たまにやることがなくてな。もちろん、人形同士で壮大かつ命懸けのバトルを繰り広げてるつもりだ。だから俺の男らしさはちゃんと保たれてるぞ!……なぜかエヴァもこの遊び方をする。九歳の女の子ってこれが普通なのか?


「よお、パタ」俺は言った。「何か変わりないか?」


パタが部屋に入ってくる。「はい。特に何もなくて」


「へえ、そうか」


……何かがおかしい。エヴァの奴、パタが入ってきたのに、魔法のことで一言も叫ばなかったぞ!?


これは本当に妙だ。まるで——


目を向けると、エヴァは俺を見ていなかった。俺の向こう、窓の外をじっと見つめている——目を逸らせない何かを見つけたかのように、釘付けになって。


「エヴァ? どうした?」軽く尋ねてみたが、聞こえてすらいないようだった。ただ小さく呟く。「すごい……」


チッ、一体何を見てるんだよ——


振り返ると、山々が砕け散っていくところだった。


森の向こう、地平線のあたり、フェショは雄大な山々に囲まれている。その一つ一つが崩れていくのが見えた——岩が上から下へと転がり落ち、後には土煙だけが残る。


遠く彼方に、二つの人影が見えた——小さい方が、はるかに大きな男に山々を引きずり回されている。


一秒とかからなかった。


「グスタボ!!!」


俺は両腕を前に伸ばし、迷わず窓から飛び出した。


「な、なんなの!? ニ、ニコが飛んでる!?」エヴァが叫んだ。


パタがため息をついた。


歯を食いしばる。速度以外、何も重要じゃなかった。


「くそ、頼む!!!」俺は呟いた。自分の体に苛立ちながら。


あの山々。グスタボと何度か訓練しに行った場所だ。


すぐに辿り着かないと。


近づくにつれ、声が聞こえ始めた。


「ハハハハ!!!」男が笑う。片腕だけで、少年の頭を——俺の兄の頭を——破城槌のように使い、山を次々と突き破っていく。


「おや、ここに来るのは初めてか?」グスタボは答えなかった。腕を交差させ、降り注ぐ瓦礫から何とか身を守ろうとしていた。


「世界はこんなにも広いのに……なぜこんな下らないことに使うんだ?」


山が途切れた。グスタボは開けた空気を求めて喘いだ。頭はまだ、あの筋骨隆々の男に、山の高さで掴まれたままだったが。


「見てみろ」男は手を百八十度回し、グスタボの顔をまじまじと観察した。白目を剥き、歯はぐらつき、全身痣だらけ。もはや身を守る力すら残っていなかった。


「お前が俺の子孫だとは、とても信じられんな」


男はあっさりとグスタボを手放した。


グスタボは反応すらできなかった。視界はほとんど機能せず、体は死んだ石のようだった。トータライザーであっても、この落下が致命的だということすら、わかっていなかったかもしれない。


落ちて、落ちていく。眼下にはフェショの中心部の地面が広がっていた。その体は、すでにほとんど命の灯を失っていた——


地面に叩きつけられる一秒足らず前、グスタボの体がふわりと浮いた。まだ魂が体に残っていたのかもしれない。


「おお……こいつは驚いた」男はそう言いながら、ゆっくりと隣に浮かんでくる。


グスタボは地面に落ちた。魂の力すら失って。もはや泣くことしかできなかった。


「まあ、楽しかったぞ。それは認めてやる」


男はグスタボの片腕を掴み、宙に持ち上げると、その弱々しく壊れた体をじっくりと眺めた。周囲には村の小さな家々が並んでいた。


「もう少し長く続けば良かったんだがな」男は穏やかな笑みを浮かべていた。まるでありふれた日常の一場面であるかのように。


「だが、もうお前には何もできないだろう」


男は手の指を全て伸ばし、掌を剣のように鋭くした。腕を引き、必要な心臓を回収する準備を整える。


「今さら止まれるかよ。今までも、これから先も、絶対に——ぐああっ!」


ドンッ


飛行の間に溜め込んだ突風を纏った拳が、男に叩き込まれた。男は数歩後ろへ押しやられる。


「心配するな、超絶クールなヒーローの登場だ!」


俺は突っ込んだ、蹴りを先頭に、笑みを浮かべながら。


——このクソ野郎、後悔させてやる!——「が、あぐっ……」


男が俺の首を掴む。顔が翳って見えた。


「で、お前は一体誰だ——ああ……」


男は俺を自分の顔の前まで引き寄せ、それから笑い出した。


「信じられん! 本当に生きてたのか!」急に声色が変わる。「残念ながら……」


手の力がさらに強まる。小さな気管がゆっくりと、本当にゆっくりと潰されていくのを感じた。


「お前は間違いだ」男が囁く。「運の悪い夜の産物。お前はそれだけの存在だ。ちょっとした事故。お前は存在するべきじゃなかった」


声がだんだん大きくなる。


「過去の過ちを、俺が正してやる」


手の力がさらに強まる。容赦なく。もっと、も——っと……


い、息が——できな——


ダアッ!!!


男が一直線に吹き飛び、木片を撒き散らしながら家を突き破っていった。


顔を上げると、そこにグスタボがいた。ボロボロの体でも、力を振り絞ったのだ。


「グスタボ! 大丈夫か——」


「お前、何しにここに来たんだ!?」グスタボが俺に怒鳴った。


俺は目を瞬いた。


「ニ、ニコ、ここから逃げろ! あいつは他の奴らとは違うんだ!!!」


「わかってるよ! あいつ、俺たちの父親なんだろ!? 状況からして——正直すぐわかるし、本人もそう言ってたし……でも関係ねえ! マジで、俺にとってはあいつも他の悪党と同じだ! 俺たちなら——」


「そういう意味じゃない! あいつは——」


ドンッ


軽く払っただけの一撃で、グスタボが吹き飛んだ。その場所に、あの男が立っていた。


トム・ブリトン。


男が口を開く前に、俺は身構えた。脚と腕を軽く交差させ、拳を握りしめる。


——こいつを倒さないと——


「おいおい」


気づいた時には、腹に蹴りを食らっていた。上向きに突き上げるように。


俺は上空へ吹き飛ばされ、頭がくらくらするまで何度も回転した。


雲の高さ近くで何とか体勢を立て直し、腹に手を当てて確かめる。


——マジであいつ、強すぎるだろ……あれ? 思ったよりそんなに痛くない。あれ? もっと強いと思ってたのに——


「強いさ」


あ、あああ……な、なんだ、これ——


鋭く、耐え難い痛みが体を突き抜けた。下を見ると——血まみれの手が、俺の腹から突き出していた。


「過去を正しているだけだ」声は、俺の背後から聞こえた。


その言葉は、ほとんど耳に入ってこなかった。腹に空いた穴の光景の方が、遥かに恐ろしかった。

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