2話【侵略者と守護者】
グラン。それが私に与えられた名前。
私が生まれた世界では常に争いが絶えず社会性よりも力が全てを支配した。
愚母は自身が住む貧弱な村を守る為に私を産んだ。力の強い男と媾う為に誘惑して誘い孕んだそうだ。
勝手極まることこの上なしだ。父も哀れな男だ。下心ある女相手に色仕掛けされて負けるなんて
晴れて腹を突き破り生まれた。生まれた時は赤子の姿だったがすぐに身体が成長していった。そういう存在だ。
私は生まれ、直ぐ様目につくもの全てを破壊した。世界の技術を奪い次の世界を破壊しに此処までやって来た。此処を破壊し終えたらまた次の世界に行く。行ける場所全てを破壊する。
その先に何があっても無くても関係ない。何の為だとかそんな高尚な目的もない。ただ生まれた時からそういう存在として生まれたからだ。
血と死体を捨てあらかた周りを破壊し終えた。
ひとまず今日はここで休もうと腰を下ろした途端雨が私の周りにだけ振り始めた。
「お天気さんとか彼奴等は言っていたが…天気に自我でもあるのか?」
それならば休めず体力を奪う為に雨を降らした?随分な嫌がらせだ。
――――
「それ…本当…?動かなくなった……つまり…」
「殺された…」
今までそんな事無かった。だってこの世界で人が殺す殺されるのはもうすごくすごく昔の話。
話してくれたツィルという2つの尾を持つ白い狐から恐ろしい言葉を耳にした。
私…魔法王女の『ウルメ』がこの世界に魔法王女として生まれた時から一人の例外を除いてそれはもう無くなった。
正しくは『私という存在が皆から殺し合いという概念を消した』ということ。だから私が死ねばまた皆が殺し合いという発想がでてくる。それだけは避けなければいけない。
だが私が世界をみんなを守るという役割があるから戦いの前線に出ないといけない。
殺し合いという発想がない彼等には『防衛』という形で動いてもらう。
「…ユマおばぁちゃんなら何かわかるかな?」
困った時にいつも知恵を貸してくれる森のおばあちゃん。先程の例外は彼女の事だ。
まだ生きているなら彼女に話を聞こう。
私はツィルに隠れるように言うと王宮を飛び出した。
大きな森には『おやすみの泉』という泉がある。そこには沢山の住民が体の傷を治すために浸かっていた。泉の水は汚れることなくすぐに浄化していき住民の体も癒えていく。
皆を落ち着かせるために話をしているユマおばあちゃんを見つけた。
「ユマおばぁちゃん!」
「あらウルメ王女様…」
ユマおばぁちゃんが私に気が付いて話を止めて近づいてくる。
私を見つけた皆が口々に声を上げる。
「王女様だ…」
「みんな!王女様だよ!」
「大変な事が起きたって聞いて…それで…」
「そうね…私もこんな事になるだなんて…みんなで力を合わせないと全て壊されてしまう」
私は不安でいっぱいだった。それでも前線に立たないといけない。
「皆…私がいるからもう大丈夫だよ!」




