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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
田舎の宮廷召喚術士、領主となって奮闘する

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254 燃える商都に降り立つ英雄

 商都は燃えていた。


 身長は大人の倍近くあるだろうか。

 突如、南東に現れた巨人は、商都メルシアに向かって歩みを進めた。

 グィルムの領主、フロイス子爵シェラは、急ぎ住民の避難と迎撃を命じた。


 タイミングとしては最悪だった。

 最大の戦力である白銀の聖法騎士ガイゼルは、兵を率いて南方から迫りくる反乱軍の鎮圧に赴いていた。

 守備兵に迎撃を命じたものの、全身に炎をまとった巨人に抗する手段はない。

 結果、守備隊長が負傷し、外壁を破られ都市内部への侵入を許してしまった。


 シェラも手をこまねいていたわけではない。

 すでに冒険者ギルドに依頼し、高額な報奨金を約束した上で、術士の派遣を要請していた。

 だが今のところ、巨人の進撃を鈍らせる程度の効果しか得られていない。


 なんとかあの化け物を外壁周辺で押し留めることができているのは、シェラが水の精霊(ウンディーネ)にお願いしているからだが、それも長くは続かないと感じている。


「旦那さま……」


 軽装鎧姿で領主城のバルコニーに立つシェラは、遠く離れたハルキのことを思い、立ち昇る煙を見つめた。




『王都から術士が派遣されますが、空を飛べる者は限られていますし、すぐに対処するのは厳しいと思われます』


 魔導術士が全員飛べるってわけではないし、馬車で十日近くかかる距離となると、今日明日で……というのは無理だろう。

 そう思いつつ、メイプルからの報告に意識を傾ける。


『近くに潜伏している特命官にも討伐命令が出ていますけど、表に出せない人たちですので、表向きはお兄さまたちが討伐したことにするようです。ですので、急いで商都へ向かって下さい』

『分かった。けど、こっちの後始末もあるし、マリーとメイリアに空を飛んでもらって、先に行ってもらおうか?』

『いえ、王宮は、お兄さまが主導で討伐した……ということにしたいようです。反逆者の移送は、クロエちゃんにお願いしますので、みなさんで馬車に乗って、商都へ向かってもらえますか?』

『ああ、分かった』


 メイプルとの連絡を終え、さっそく行動に移す。

 まずは、クロエ……黒猫獣人(ニャンコ)を召喚する……フリをする。


「ニャンコよ! 我が呼びかけに応え、姿を現せ! 召喚(サモン)!」


 軽装鎧に仮面をつけたネコ耳少女が現れて、俺の前にひざまずく。


「主様、お召しにより参上いたしました……にゃあ。ご命令を……にゃあ」


 たどたどしい「にゃあ」に癒されるが、それどころではない。


「ニャンコよ! 負傷したようだが、大事ないか?」

「不覚を取り、少し火傷を負ってしまいましたが、主様のおかげですでに癒えておりますにゃあ」

「であれば……。我らは商都へ向かう! ニャンコよ、私の代わりとなって捕縛者の移送の指揮を執れ!」

「はっ、ご下命賜りました……にゃあ」


 馬車で駆けつけてきてくれた村人たちに、自分の代理だと黒猫獣人(ニャンコ)を紹介して後の始末を託す。

 さらに、小さくて丈夫そうな幌馬車を借りた。


「シア、マリー、メイリア、これで商都に向かう。乗ってくれ」

「急ぐならぁ、私に任せて~」

「そうだな。頼む」


 こうして俺たちは、メイリアが手綱を握る馬車に乗り込み、商都メルシアに向かって慌ただしく出発した。




 普通の者には見えないが……

 水の精霊(ウンディーネ)が炎の巨人を翻弄していた。だが、その姿が徐々に薄れ、そして消えた。


「シェラも限界か……」


 そう呟いた白銀の聖法騎士(ガイゼル)は、目の前の兵士たちに向かって檄を飛ばす。

 一部の兵を率いてひと足先に商都へ戻って来たのはいいが、兵士では太刀打ちできないと覚り、消火活動に加わるよう指示した。


「我らで街を守るぞ! だが、決して無茶はするな! 負傷者は救護所へ運べ! 敵の増援を叩いたリーフォニア伯爵閣下がこちらに向かっている。それまで耐えるんだ!」


 敵の放った熱線が、見えない壁に阻まれて霧散する。

 紅玉の聖法騎士(ディア)聖法壁(プロテクション)だ。

 更に、白兎獣人(ピョンコ)の精霊術だろう、空中に現れた大量の水を浴びせて、何とか足止めしようと試みている。

 周辺の街や外壁に大きな被害が出ているが、それはこの際仕方がない。

 避難が終わっているので住民は無事だが、消火活動を行っている兵士たちに、巻き込まれて被害に遭う者が出てしまっていた。

 到着した時には守備隊長も負傷離脱しており、白銀の聖法騎士(ガイゼル)が兵士全体の指揮を執ることになった。


 ゲヌマの魔物なら、核となる魔石を抜き取れば倒せるとメイプルは言っていたが、そんなことが可能なのだろうか……

 あの炎のせいで近付くことすら困難だ。

 それに……


「火の玉が来るぞ! 皆の者、備えよ!」


 不意に放たれる、生きた火の玉が厄介だ。

 十体近くの火の玉が放たれ、好き勝手に暴れ出す。

 それを近いモノから素早く斬り伏せていく。


「これで三つ! 次は……」


 新たな火の玉を見つけて走り寄ろうとした時、それが何かに貫かれ……

 ボンという音と煙を放って、爆発四散した。


「お待たせ、ガイゼル閣下」


 杖を構えた宮廷魔導術士マリーの姿が。

 それに……


「遅れて悪い、閣下殿」

「待ってたよ、マリー、フェルミン。無事で何よりだ、旦那様!」


 満面の笑顔でそう言うと、白銀の聖法騎士(ガイゼル)は剣を振り上げ……


「リーフォニア伯爵閣下が……、英雄が到着されたぞ! 皆の者、よくぞ耐えた。巻き込まれぬよう退避せよ! これより反撃を開始する!」


 そう高らかに宣言した。


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