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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
田舎の宮廷召喚術士、領主となって奮闘する

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253 罪人を移送するのも大変

「これで最後か……」

 

 猿ぐつわを噛まされ、手足を縛られて転がされている敵を見下ろして呟く。

 少しでも何か情報が得られたら良かったんだけど、とてもじゃないが話せる状態ではなかった。

 いやまあ、話せたとしても、情報を漏らすとは思えないけど。


 ここに転がっているのは敵対心が強かった敵……すなわち、帝国の潜入工作員や兵士の可能性が高い。


「ハル兄、こっちも終わった」


 シアが二人の男を引きずりながらやってきた。

 宙に浮いている三人はサクヤ──白兎獣人(ピョンコ)の念動力だろう。


「全部で百三十六人ですわ」


 拘束するだけとはいえ、これだけの人数だ。白兎獣人(ピョンコ)の念動力がなければ、三倍以上の時間がかかっていただろう。

 できればサッサと商都の援護に向かいたいんだけど……


「わざわざ敵が回収しにくるとは思えないし、もうすく馬車が来ると思うから、放置しておいてもいいような気がするけど……」

「放っておいてぇ、消えちゃったら~、大問題になるわよねぇ」


 メイリアの言う通りだ。


 転がってる敵は、しびれ薬に幻覚キノコ、それに加えてディアーナの聖法術で罪悪感に苛まれて恐慌状態に陥っているのだ。

 まず逃げ出す心配はないとは思うが、念のために縄で縛り上げた。

 手持ち……っていうか、精神収納(アストラルボックス)にあった縄では足りなくなり、ミアに頼んで王都から補充してもらった。

 そこまでしたのは、この者たちが、この騒動を起こした首謀者の一部……と思われるからだ。

 そんな者たちを、ここまでしておいて「逃がしてしまいました」じゃ格好がつかないし、その理由が「連行するのが面倒だった」じゃ、俺のほうが罪に問われかねない。

 本当に困った……


 縄のように馬車や罪人も精神収納(アストラルボックス)で送れたら便利なんだけど、生きているモノには使えないし、あまりに大きな物を放り込んだら、たぶん俺がぶっ倒れる。


「ハルキぃ~、心配しなくてもぉ、ほら~、そこに見えてきたわよぉ?」


 メイリアが指差した方向から、馬車の隊列が向かって来るのが見えた。

 マリーが空を飛んで手配しに行ってくれた、移送用の馬車だ。

 敵の襲われる可能性が低いからと避難指示が出されなかった村が近くにあり、そこへ向かってみると言っていた。

 その当人が、ホウキに乗ってひと足先に戻って来た。


「お待たせしましたわね」

「そんなことないよ」

「一番近くの村だけでは不足でしたので、もう一つの村にも頼んできましたの」

「そっか。マリー、お疲れさま。全部で百三十六人……ほどいるんだけど、全員運べそう?」

「問題ありませんわ。無理にでも押し込んで差し上げますわよ」


 おいおい……とは思うけど、いざとなったら、そうするしかないだろう。

 新たな馬車を手配する時間が惜しい。


「それではハルキ、私はクロエのお手伝いに行きますわね」

「今、向こうはクロエひとりだったな。ありがとうサクヤ、助かったよ」

「いえいえ、お役に立てて嬉しいですわ」


 優雅なお辞儀をして、白兎獣人(ピョンコ)が姿を消した。

 それと入れ替わるようにしてディアーナが、拠点に置いてあった馬を運んできてくれた。

 もう監視小屋に戻る必要がなくなったので、迎えに行ってもらったのだ。


「ほいじゃあ、アニさま、この子たちのこと、よろしゅう頼みますえ?」

「ああ、ディアーナもありがとう。向こうに行くのか?」

「ええ、そうどす。何やら面妖なことになってはるようやさかい、ひと足お先に行かせてもらいますえ」

「そうか。気をつけてな」

「ほな、失礼させてもらいます」


 木に手綱を結わえたディアーナも姿を消した。


 面妖なことって言葉が気になるけど、メイプルから報告がないってことは、気にする必要がないってことなんだろう。

 そう、心の中で結論付けたのに……


「ハル兄、心配?」


 どうやら、シアには見破られてしまったようだ。

 よく一緒にいるからか、俺が少しでも不安な気持ちになると心配してくれる。

 誤魔化したところで仕方がないけど、言葉を濁す。


「まあ、ちょっとな」


 あそこまて弱体化した敵に何ができるのかって思ってたけど、その不利を覆すような……切り札が何かを出したのだろう。

 そんな不安に追い打ちをかけるような、メイプルの指示が飛んできた。


『お兄さま。ディアお姉さまに瞬間強化二十三の準備をお願いします』


 二十三!?

 どんな大技を使うつもりんだんだ?

 ……と思いつつも、心を落ち着かせる。


『カウント、五、四、三、二、一、ハイッ! 続いて、サクヤちゃんに継続強化三と、クロエちゃんの治癒を五でお願いします』


 治癒!?

 クロエが負傷したのか?

 あのクロエが負傷したって言われても、とても信じられないけど、それ以外に治癒を行う理由がない。

 何が起こっているのか気になるけど、まずは指示通り、二人に力を送り込む。


『ごめんなさい、お兄さま。説明は後でしますけど、そちらの皆さんは、その場で待機をお願いします』

『ああ、分かった。ありがとう、メイプル』


 このやりとりを、この場に居るマリー、メイリア、シアに話す。


 まだ馬車の列が到着するには時間がある。

 偵察班の三人の動きが気になったので追っかけていたけど……

 最初にディアーナが現れたのは、たぶん敵兵のいる場所だと思う。

 クロエはすでに商都の方へと向かっていて、残っていたのはサクヤのみ。

 だけど、ディアーナが現れた瞬間、サクヤも商都へと向かった。


 ディアーナに力を送る指示が出たのは、敵兵に何か聖法術を使ったからだろう。

 その直後、ディアーナも商都に向かって、すごい速度で移動を開始した。

 クロエとサクヤは、商都の東と西に分かれて偵察をしている。

 治療の力を送りんでいる間もクロエは動いているので、それほど酷い怪我ではなさそうだけど……


 この状況は、さっさと敵兵を無力化して、急いで商都に向かう必要があったからだろう。

 つまり、商都か、その周辺で何かが起こったとみて間違いない。

 ……だけど、勝手な憶測で、勝手に不安になっても仕方がない。


 今の俺たちにできることは、到着した馬車に百三十六人の捕縛者を詰め込むことだけだ。

 まず第一陣の馬車六台に、どんどん放り込んでいく。

 その途中……


『ごめんなさい、お兄さま。商都周辺にゲヌマの魔物が現れました。お兄さまたちも商都に向かってもらえますか?』


 メイプルから、かなり慌てた様子で連絡が入った。


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