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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
田舎の宮廷召喚術士、領主となって奮闘する

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240 勘違い

 長い沈黙の間に次から次へと悪い考えが浮かんできて、耐えきれなくなった俺はフェラルド様に言葉をかけてしまう。


「悩ませてしまって申し訳ありません。もちろん、二系統保有者(ダブルホルダー)の道は困難だとは理解しています。ですが、今後のことを考えれば、このタイミングで挑戦するのが一番だと思います。ですので、是非、よろしくお願いします」

「うむ……。無論、二系統を使いこなすのは困難であろう。だが、現状に加えてサクヤに見合う更なる力となると……」


 やはり、二系統というところが引っかかっているのだろうか。

 だけど……


「サクヤの力を最大限に発揮させてあげたいのです。ですから……」

「その気持ちはワシにもよく分かる。分かるのだが、精霊術は、精霊を見定め、契約を結び、友誼を結んで力を借りる。それが全てなのだよ。すでにハルキは精霊を色で判別する術を持ち、たいそう精霊に好かれておる。この時点で、ワシよりも優れた資質を持っておるわけだが……」


 前にもそんな言葉を聞いた気がするけど……


「つまり、優れた精霊術士になるには、優れた精霊を見つけて契約するしかない……ということでしょうか?」

「いやいや、そうではない。精霊に優劣などなく、個性があるだけだ。仮に上位精霊などと便宜上呼んでおるモノもいるが、それらと多数の契約を結んだからといって優れた精霊術士だとは限らぬ。それは召喚術士でも同じだと思うが?」

「精霊の能力を把握し、適切に運用することが大切……ということでしょうか?」

「うむ、そういうことだ。精霊によって特性があるのだから、目的に沿ったモノを選び抜いて契約を結ぶ。それが良き精霊術士としての第一歩。そういう意味では精霊の色を見る能力は、大きく優位に働くだろう。だが……」


 フェラルド様がサクヤに視線を向ける。


「サクヤを活かす精霊となると厳しかろう。なんせ、人魂の精霊は特別だ。それも何百年もの歳月を経た相手となれば、そうそう釣り合いの取れる精霊などみつかるまい。おぬしとサクヤの相性は抜群と見ておるが、それだけに更に困難であろうな」

「あ……いえ、今のところ新たな精霊と契約するつもりはありません。私は精霊術を身に付けて、その技でサクヤの力になりたいと考えております」


 なんだろう、微妙に話が噛み合ってないような気がする。

 どうやらフェラルド様も、それに気付いたのだろう。難しい表情が不意に崩れて笑顔を浮かべた。それどころか、声を上げて笑い始めた。


「……いや、参った。なるほどな……うむ、なるほど、ようやく合点がいった」

「えっと、どういうことでしょう……」

「済まぬ、ハルキよ。ワシが勘違いしておった。てっきりおぬしは、サクヤと協力して力を高め合うような、そんな精霊を探しておるのかと思っておった」

「いえ、そのようなことは……」

「……であろうな」


 うむうむとうなずいたフェラルド様が、力のこもった瞳で俺を見つめる。


「それに、ハルキよ。おぬしも勘違いしておるぞ」

「勉強不足で申し訳ありません。知識を得ようにも、その手段すら思い浮かばなかったもので」


 メイプルの知識に無く、周りに基礎からしっかりと学んだって者もいない。

 サクヤ、シェラ、風精霊(フィーリア)に聞いてみたけど、精霊に力を与えて強化する方法……なんてものは、誰も知らなかった。

 水辺なら水の精霊が、炎の近くなら火の精霊が力を増す……というのは知っているけど、逆を言えば、精霊の気分と周囲の環境によって効果が変わるということぐらいしか知らない。俺の霊力を使って精霊を強化するような、そんな精霊術があればいいと思ったんだけど……


「ふむ、そうだな……。まずは、結論から伝えるとするか」


 なんだろう。フェラルド様の雰囲気が、小動物を愛でるような、何だか慈愛に満ちたものに変わったような気がする。


「ハルキよ。おぬしはすでに精霊術を会得しておる。つまり、召喚術と精霊術の二系統を会得した、立派な二系統保有者(ダブルホルダー)だ」

「いやでも、精霊術なんて使えませんし……」

「おぬしの勘違いは、そこだな。先にも言ったであろう? 精霊と契約を結んで力を貸してもらう。それが精霊術の全てだと。精霊と契約できた時点で、ハルキは立派な精霊術士というわけだ。あとはひたすら精霊と仲良くなって、より強い力を貸してもらえるよう努力をするのみだ」

「でしたら、サクヤを強化するには……?」

「そこもおぬしの勘違いだな。精霊とは巨大な力を秘めた存在。それ故に力を行使することに慎重でな。だから我ら精霊術士は、精霊に譲歩を促してより多くの力を貸して頂けるようお願いするのだよ」


 それだと、俺はサクヤのために、何もしてやれないってことになる。

 いや、サクヤが秘めている力……っていうものがあるなら、それを解放してあげればいいってことになるのか?

 それはそれとして……

 すでに精霊術を会得しているってことなら、たとえ召喚術が使えなくなったとしても、必ず再び召喚術を取り戻してみせると意気込んだ、俺の決意は何だったんだろうって思う。

 チラッって視線を送ると、メイプルも気まずそうに目を伏せた。


「……とはいえ、人魂の精霊というのは稀だからな。ワシにもまだまだ分からぬことが多い。ハルキの言う『強化』というものが、どのようなものか分からぬが、試してみるのもよかろう」

「強化……」


 サクヤにも、彼女が持つ契約の指輪を通して精神経路(アストラルパス)が繋がってる。だから、シアたちと同じように精神経路(アストラルパス)を経由して力を注ぎ込んでみようか……と思い、メイプルを見る。

 そのメイプルは俺の言いたい事が分かったのか、少し複雑な表情を浮かべたものの、小さくコクコクとうなずいた。


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