『諸刃の直剣』〈Sランクの呪い装備〉
◆◇◆◇◆
グダス・ケントールは不問になった───証言ありきといえど『現物』は【解呪】もしくは【編集】による事実上の所在不明となったため『証拠不十分』として不問となった
【強刃】【惨虐趣向】だった物は今や『金属ゴミ』として、僕の麻袋の中に入っている───【解呪】に至ってはその効果自体が『相殺』されたために今や『ただの際どい服』になった
耳飾りは【編集】で効力自体が変化した───しかし、あの一手がなければルナさんの腑が散乱することになっていたのは想像に難くないため、後悔はない
しかし、ケントール家はこれを受け、グダスを『家名』から追放した。元より素行不良の目立つ人物であったため、これ幸いと梯子を外された様だった。詐欺師が『家名』に連なるとは世間体が良くないのは明白なので妥当だろう
グダスはこの件で少なくとも『4つ』の呪いの装備を失った。希望的観測に過ぎないが、大規模で活動することは大凡ないだろう。多分
スタルジア家もそうしたいのだが、『あれ』の素行はグダスとは比較にならない程だ。もし家名から外れたなら───手綱を外した場合、何をしでかすかわかったモノじゃない。無敵の人を爆誕させないためにも安否確認をしたいところだ
◆【教会で】
「…」
「なんて無茶をしたんですか」
雑な接合のツケを今、身をもって精算している。雑に繋いだ骨を叩き折られ【ヒール】を受けている
中手骨を要領良くおられた
「むっちゃ手慣れて…っ!」
「嫌でもなれますよ。教会にいると」
死んだ目をしていた。それはそれとして痛みは残っているものの綺麗にくっついた。【ヒール】と【治癒】の細かい違い───魔力を用いた回復であることは同じながらその『過程』が違う様だ
予期せぬ時間を食わされたもののまだ日は高く、昼にはまだ先がある───いざこざから逃げる様にして『無限の迷宮』に向かった
◆【急いで迷宮に向けて】
『ノル、乗れ』
「あれ?虎丸さん!?」
草原を走っている最中に虎丸さんが並走したかと思えば、鼻先で持ち上げられるように背中へと乗せられた
「何故こちらに?」
『召喚術の応用だ。ノルの喜怒哀楽を
感じられる故、馳せ参じた次第』
「…」
『召喚術』凄え───こちらからも呼び掛けができるのに加え、こちらの状況をある程度汲んで行動してくれるとは
虎丸さんの背中に乗って駆ける草原に起伏は感じられず、平坦と勘違いする程だった───4足2対の跳ぶ様にして走る歩法にも関わらずだ
◆【霊感C】
ジャック・ランタンが居た墓地の前を通った時、視点が上がったことでいつもは見えてなかったものが見えた───『石碑』だ。所々が欠けている
「虎丸さん、少し」
『よかろう』
放棄された『墓所』───その最奥にある『石碑』には『神暦』の文字が刻まれている代物が鎮座していた
何か『拾いそびれている』感覚を受けた。いつぞや聞いた───『300年前に存在した曰くつき武器』埋められ、今も眠っているものの存在をそこに感じた
『ノル、どうした』
「知り合いが石碑の近く、若木の近くに
武器を埋めたと言っていたので」
『ふむ、なんとも奇妙な言伝を』
「どれもこれも樹齢200近いものばかり」
いや、そうか───神歴の暦の若木なんて大樹なっているだろう
『では掘り返すとするか』
「え?」
◆【虎丸が有能過ぎる】
虎丸さんが鼻をひくつかせ、徐に土を掘り返し始めた。何故分かるのか?───なんて聞くと『ノルの気配がしたのでな』とのことだった
なんで僕はここに居るのに土の下からも気配がするのだろうか
『ノル、見つけたぞ』
虎丸さんが土から出した物は『長箱』───鉄製の箱を持ってきてくれた
「…っ」
鉄製の箱の先から、ハーレム自慢大会の時に感じた『異質な雰囲気』にたじろいでしまった───鳥肌が止まらなかった
「これは…」
『厄モノだな。壊すか?』
「いえ、大丈夫です」
錆びつき、穴の所々空いた『それ』の蓋を持ち上げようとすると自重で割れ、蓋はなくなってしまった
◆【黒塗りの鞘と金細工】
「これは…」
錆びた鉄の箱の中にひっそりと剣が一本横たわっていた。一瞥し【鑑定眼】を使わずとも感じる『呪いの気配』に鳥肌がおさまる気配がなかった
とても300年、土の下で寝ていたものとは思えない見事な『黒艶』と『金細工』の対比───金細工は華美なものではなく、ひっそりと。言うなれば夜の月明かりを思わせる厳かな雰囲気を纏っていた
「…は〜」
満を持して【鑑定眼】を使った
◆【鑑定眼】
産地:ルーデンベルクの鍛治屋
区分:109,877
種類:直剣
ランク:S
所有者:ノル・スタルジア
スキル:【不運律・強刃S】
◆【スキル詳細】
【不運律・強刃S】
〈所有者の運の値を全て
刃のモトへと『変換』する〉
『変換』
〈とある値を別の値に転用すること〉
◆【諸刃の直剣を手に入れた】




