『第二次審査』〈その1、窮地での反応〉
◆◇◆◇◆
『ラムウギルド』『オーディンギルド』『道具店』の組が入ってくるのを見守り、続けて司会進行役の恰幅の良い男が入ってくると間も無く『第二次審査』が始まった
配られた『集音魔道具』を耳につけての審査だ
◆【第二次審査の内容】
「これから審査員の方々が考えたお題を出す
それにあなた方が応える形となる
尚、途中リタイアもできるので危険を感じたら
即逃げる様に───ではいくぞ最初のお題は」
『ボーン伯爵』の進行に合わせて準備を完了させる───会場にどよめきが広がるも誰も帰ろうとしなかった。それどころかひとり、またひとりと茶化し始める
「『隕石』が数秒後、落ちてくるぞ、どうする!」
◆【薄暗い空間に燦々と降り注ぐ光】
「…ふぅ〜」
両手で【陽光】と【石弾】───薄暗い会場を照らす様に『太陽石』を膨らませていく、会場全体がどよめきで騒がしくなる中『100』まで溜めきる
本物の太陽と比べ、気分が良くなり、植物に益のある『陽の光』を発する、太陽のいい所だけが詰まった。ただの石だ───強いて危険性述べるのであれば『質量』が『石弾100』であることくらいだ
射角は確認済み『石弾100』の扱い辛さは『無限の迷宮』で散々受けてきた───今は暗闇に閉ざされている空に目掛けて狙いを定める
『太陽石』は球体のため、射出からの着弾後に転がる恐れがある───ので、着弾時に地面へと沈み込む角度で打ち出すことを決めている
危険性はないとは言え『お題』だ───どう言う行動をとるか。どれだけハーレムであるかをここの観客に伝えられるか、それが第二次審査の要項だ
◆【オーディンギルド】
「ガモン何とかしなさいよ」
「そうよ、頑張って」
「ZzZ」
「無茶言うなよ。あんなのどうすれば良いんだよ」
オーディンギルドは『ハーレム』というより女性陣にいびられる男性といった印象だ。そもそもハーレムですらないのだから当たり前と言えば当たり前ながら、もう少し取り繕うべきなのではと思うのは僕だけではなかった
「綺麗どころが揃ってるが、ありゃ
賞金目当てで参加した口だな」
「そうですね。あまり中が良いとも見えませんね」
「そうでしょうか?距離に不自然さがないのが
私には良いことの様に思えますが」
「そうそう、もう家族とかの距離感って感じ」
「そう見方もあるのか…」
◆【ラムウギルド】
「くだらねぇ、俺たちが優勝で良いじゃねぇか」
「そういう言い方やめてよ」
「某が斬りましょう」
「どうしてそう乱暴なの」
「…」
ラムウギルドに関しては対処の目処が立っているものの仲の良さはなさげだ。ハーレムというよりは『仲間』といった様子を見せてくる。実力はあるものの大会の趣旨とは別物なため、あまり印象は良くなかった
「何だぁ…ハーレムじゃねぇのか
なら、ひとりくらい口説いても問題ねぇな♪」
「リーダーの人、横暴さが目立ちますね
ただのパーティでの参加かしら」
「…あの装い、何処かで」
「昔から変わらないな…」
審査員間での印象も概ね一致していた
◆【道具店】
「この感じ、魔法か?エルダ」
「多分。防御壁を出します。皆さん私の後ろへ」
「衝撃は僕の道具でどうにかする」
「ありがとうフィオラ」
「ごめん、何もできなくて」
「そんなことないよミーラ」
「これが本物なら泣かせた馬鹿ども吹き飛ぶのに」
「本当だよ」
道具店の方々は淡々と準備を進めていた。第一次審査でのことに対する愚痴を各々が呟いていた。この中で唯一まともなハーレム故にこの組に是非とも『賞金』を手に入れて貰いたいところだが、堅実な感じを見るに問題はなさそうだと思う
「なんか、申し訳ないな。俺点数低く出したし…」
「私も周りの気に流された節が…」
「申し訳ありません」
「えぇ〜どう見たって幸せそうだったじゃん」
審査員の方々の気分ダダ下がりの様相が聞き取れた
◆【時間になったので】
「では撃ちます」
「「「え?」」」
「ちょっと、これ本当に大丈夫なのよね?」
「直撃は避けました」
「そういう問題じゃない!うわっ」
空高く放った『太陽石』が会場の中心で、地面目掛けて自由落下を始めた───狙い通りだったが、その後は想定外だった
先に動いたのは意外にも『オーディンギルド』のガモンさんだった。地面に触れ『土盾』───土が盛り上がり壁を形成し、女性陣を庇い、『ひと突き』の体勢に入った
続き、『道具店』が『防御』を完了した
そして『ラムウギルド』は纏まりがないものの、最も実力派な解答を提示した───迫り来る『太陽石』を両断して見せた。空中で2つに裂けたそれらは『道具店』と『オーディンギルド』に迫った
「しまった!」
『オーディンギルド』はこれを『ひと突き』にて砕いてみせたが『道具店』が問題だった───落下の威力はそのままに『直撃』を受けることになった
防御壁の強度超過により無惨にも砕けたそれの先にいる『道具店の魔法使い』へと迫ることになった
◆【銃声】
【魔弾】による迎撃よりも速く、それは放たれた。両の手でそれぞれ構えた『射出』専用の『魔道具』───『魔法銃』から『魔力弾』が4発放たれた
それは『太陽石』を打ち砕き、飛散した欠片の内、魔法使いに迫らんとしていた『それら』を的確に捉えて迎撃してみせた
太陽石の光が失われていく最中に『魔法銃』を撃った審査員の顔が目に留まった
「ルナさん?」
審査員のひとりは『ルナ・ヒーラー』さんだった───まだ、生きていてくれた【1244】




