『1組目の採点』〈商いからの参加者〉
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ハーレム自慢大会───観客の誹謗中傷、罵詈雑言とほんの少しの『祝福』が飛び交う『混沌』を体現した催し物である
◆【仕事故に仕方なし】
『新婚応援』や『若者融資』と言った真面目さを確実に曲げることはないだろう。『幸せのお裾分け』がこの大会の宣伝文句なのだから
「早く出て来い!」
「罵ってやる!!」
「ハーレム何処だ!?」
楽しそうで何よりだ
◆【現実から目を背けながら】
「お、俺の愛する彼女達を見てくれー!」
上擦った声で登場した男性の後ろについて歩く様に女性が3人入ってきた。全体的に年齢は若く、皆やつれている様子もなし───しかし、不服そうな面持ちを見るにこの大会に出場するとなった時に揉めたに違いない
「初手から4人か…」
ぱっと見の印象は場に慣れていない様子だ。道具屋の店主の男性を筆頭に、女性が3名『店員』『冒険者』『錬成担当員』となぜ修羅場にならないのか不思議な組み合わせだった
甲斐という点においてはやはり商人系列の人なので高いのだろうが問題はそこではない
お披露目の内容は『挨拶』から始まり『錬成』───『光の魔法』が会場を淡く照らすと続き『爆ぜる瓶』が光を小さな爆発音と共に色づけ、暗闇となっていた『闘技場』を照らしていく、まさに『空に咲く花』だった
その後、お披露目が終わると参加者4名を照らす『スポットライト』が向けられた瞬間
「うわ、ブッサ」
誰かがそう言った───観客席が騒めきだしたのを皮切りに罵詈雑言が飛び交うこととなった。容姿を非難する内容のものばかりだ
下卑た笑い声も重なり始める
「その豚っ鼻、どうにかして下さいよっ」
言葉の嵐の中、やめる様に言うにも僕の声は掻き消される程の音圧が会場を埋め尽くしていた
◆【会場に投げ込まれるモノ】
「てめぇらいい加減にしろよ!」
『拡声魔道具』を手渡されている参加者の男性が泣き出してしまった仲間を抱えて観客席を一喝した
「そんなんだから彼女のひとりも
作れねぇんだろうが」
静まり返る会場。しかし、男性の指摘は的外れだった。会場のそれらは『嫉妬』ではなく『怨嗟』だった───並々ならぬ気迫が男性の一喝で轟々と燃え盛りだした
「いりませーん、お前みたいななぁ…」
静まり返った観客席から誰かが立ち上がると───『何か』が参加者目掛け、投げられた
「数を侍らせる奴が一番ムカつくんだよ!」
手のひらよりやや大きめな物体だった。空中で悠々と周り、参加者目掛け飛んでいくそれは───丁度『レンガ』程の大きさだった
◆【仮面を外し】
視界を遮るそれを急いで外し、身を乗り出す
「ノル?」
回る物体に『集中』して【魔弾】にて撃ち抜くと、それは空中で『くの字』に曲がり、爆ぜた
「「「え?」」」
『会場がどよめく』───薄暗い中、確かに投げ込まれたそれの陰がいきなり爆ぜたのだから仕方ないと思いつつも僕は仮面を被り直し、席へと戻った
遅れてスポットライトがひとつ増え、照らし出されたそれは『カビの生えたパン』だった───危険なモノではなかったものの、これがもし危険なものだったらと思うと恐ろしくなった
◆【採点中】
「クソブス連れて歩くくらいなら1人がマシ」
「かーえーれ!」
先よりかは静かな言葉の応酬の中で採点へと移る。錬成と魔法の合わせ技は確かに目を引くものだったものの、やはり『不服そう』なのはマイナスだった───幸せのお裾分けという趣旨から離れていては本末転倒だ
男性の意気揚々とした雰囲気との『差』はあまり見逃せるものではなかった───しかし、一緒に参加した人を庇った点は相殺に値するだろう
持ち点はひとり100点。今回の審査員は5名とあって500点満点『の人数分』がその一団に設けられた『点数』となる
「ん〜難しいな」
やっぱり点数をつけること自体が烏滸がましく感じるが『割り切る』しかない───来年は報酬に釣られて安請け合いしない様にしようと思った
◆【発表】
「それでは出揃いました」
さて次の参加者は『酒場』からか…予想しよう。踊り子を連れて出てくるだろう
「点数は『190』『225』『200』
合計…615点!?」
「「えぇ!!?」」
他の審査員辛口すぎない?
◆【会場の騒めきと共に参加者が下がる】
「ん?」
参加者の一団が帰り際。『光の魔法』を使っていた女性だけが立ち止まり、明らかにこちらを見て小さく会釈をしてきた───【魔弾】を使ったのが僕だとバレてた様だ【1214】
「おい、あの子俺を見てたぞ?」
「お?ハーレム崩壊の予感…」
「爆発しねぇかなぁ!あの綺麗な花みたいに!!」
この調子が後9組も続くのかと思うと本当に疲れる依頼だな…全くもって




