『契約』〈迷宮内でできた協力者〉
◆◇◆◇◆
6層に戻り、ゾンビを『昇天』させながら5層へと戻る。やはり移動が問題だと感じた。階層の移動は上昇に階段を使用し、その後は平坦だけど広めな空間を記憶を頼りに戻ることになる
『地図』を作るのもひとつの手かも知れない
そんなこんなで5層に到着する頃には7層の探索以上に疲労が溜まり、限界を迎える始末だった───『逆引き』で良さげな【スキル】を見繕おうにも『移動』系だけでも数が凄まじいためどうしたものか
◆【5層】
『帰るのかノル』
階段を上がりきると毛繕いをする虎丸さんと鉢合わせた
「あ、虎丸さん
明日に向けて休もうかと」
それにしても綺麗に食べるな
『なれば我が背に乗るが良い…』
「いいんですか?」
『これしきのことノルが我と
バシェルにしてくれたことに比べれば
造作もない』
◆【他愛のない話】
四足獣独特の跳ぶ様にして走る歩法の揺れが疲れた身体を眠りへと誘ってくる。うつらうつらとしていく中で虎丸さんが話しかけてきた
『時にノルよ。何故この迷宮に挑むのだ』
「強くなるために」
『危険なこの迷宮でなくてはダメなのか?』
「ダメなんです」
『何故?』
レベルを上げるにはデッドリーパーの様な敵と戦わなければいけない。数値にすると『レベル99』しかし、そんな敵が仮にいたとして『数』の確保はできないだろう
迷宮であればそれが可能だ。階層を進む程に明確に上げやすくなる構造はまさにうってつけと言える
「下層へ行く程レベルの高い敵と戦える…
そうすれば、より早くレベルが上げられる」
『それで何になるのだ?』
「…僕はレベルを上げることで目標とするものに
確実に近づける【スキル】を持っています」
『左様か』
「だから、今は無理をしてでも下層を目ざして
進むしかないんです」
虎丸さんの雰囲気なのか分からないものの───眠気からだろうか、疲れからかも知れない、ここまで赤裸々に話したのは初めてだった
『やはり、ノル。お前は他者に嘘をつかぬのだな』
「場合によりますよ…」
『この会話の内にノル。貴殿が偽りを口に
していないことは分かった』
◆【気がつけば出入り口の扉前】
僕が歩くよりも走るよりも断然早く地上に着いた
『ノル。この迷宮を知る外の者は他におるか?』
「今のところはバシェルさんくらいですかね?」
『あい、分かった。ノルよ───手を我に』
「え?はい…」
言われるがまま手を差し出すと鼻先を擦り付けられた。次の瞬間、手の甲に『魔法陣』───円の内側、もしくは外側に無数の『文字』が記述されている『紋様』のこと
それが『緑』と『黒』の泡のような物を伴って現れると暫くして止まった
「びっくりした」
『ノル。これにより契約はなされた』
「へ?契約??」
『左様。ノルが他の者のために身を削るとあれば
我はその行く末を傍で支えよう』
◆【申し出の受諾により『虎丸』が仲間になった】
「…え?どう言うこと?」
『盟友の誓いだ。友を必要とした時
我を呼ぶが良い。しからば駆けつけよう』
「…駆けつけるって?」
『言葉の通りよ。千里からでもひとっ跳びにて
参上致す』
「…」
突然のことで頭がいっぱいだ。しかし、聞いたことがあると言えばある───お伽話における『加護』だ。祈りに近く、奇跡に等しい『それ』だ
『どうした。嬉しくないか…』
「いえ、何と言うか
その、実感が湧かないんですよね」
身体に入り込んできた他者の魔力は不快とは違った感覚を僕に返してきた
【鑑定眼】を使った時、霧を掴むに等しい【〜死印】との『戦い』が───『契約』というものの『輪郭』を掴むことになった
◆【鑑定眼】
名前:ノル・スタルジア
年齢:16
種族:人間
レベル:50
職業:冒険者 英雄学校『Sランク』
スキル:【大賢者】【創作】【編集】【付与】
【LP変換】【魔弾C】【石弾C】【鑑定眼C】
【浄化】【探知】【水玉】【霊感】【魔法融合】
【紫電C】【治癒】【暗視】【陽光】
【頭痛耐性】【頭髪増毛】【体術】
【体力上昇B】【召喚術】【盟友の誓い】
◆【スキル詳細】
【召喚術】
〈契約した魔物や生物、精霊を呼び寄せる〉
【盟友の誓い】
〈虎丸がノルに向けた友情の証〉
◆【効果を持たないスキル】
「これ…」
『ではなノル。迷宮内外問わず
我を頼ると良い』
「ありがとうございます」
【1199】───思わぬところでヒントを受けた。これは不安が続く暗闇の中での大きな一歩となった




