『解呪』〈伝授しない理由〉
◆◇◆◇◆
空気が緊張を持ったものに戻った───僕は最初に聞きそびれたことを質問することにした。それは彼女を頼る理由にして、差し迫っている問題の解決法だ
「ルナさん」
「ノル殿、先ずはローラを運ぼう
完全に寝てしまっている」
「…」
◆【唐突な質問】
ローラさんを休憩室に運び【浄化】を掛けておく、後で受付で『依頼報告』をしておこう
「…ノル殿、この国には【解呪】の使える者は
何人いると思う」
背を向ける僕にルナさんが質問を投げかけてきた。立ち上がり振り向くとルナさんは腕を組んで壁にもたれ掛かっていた
そこには先までの和気藹々とした雰囲気は完全に消え失せていた───して、この街には『ルナさん』がいる。5年前にはその母親『ルーナ』も存命していたとなればひとつの街に2人がいた───この国には大きな街が他に幾つかある。それを加味した場合、望ましい人数は算出できた
「20名ですか?」
「8人だ。たったの」
そんなに少ないのか
「…少ないですね」
◆【ルーナの日記を渡した真意】
「解呪を教えない理由は幾つかあるが
1番の問題はそこで、私は
ノル殿の安全のためを思っていっている」
「街に居られなくなると言いたいんですか?」
「それもあるだろうが
ノル殿。ことはそう単純なものではない
『解呪』系ならもっと多いがこと【解呪】に
おいては話した通りだ。せめて
何かしらの組織の庇護下で
会得することをおすすめするよ」
この人は本当に優しいな。でも
「それじゃあ遅いんですよ。ルナさん」
こうなれば平行線に変わらないな
「なに、心配ご無用。公爵は私が救おう」
「…」
胸を叩いて見せたルナさんにしかめ面を返してしまった。場合によっては『LP』が足りて死なないかもしれない───それでもそんなリスクを何故ひとりで背負おうとするのか
「そんな顔をしないでくれ
私の死を悲しむ者より、公爵の後継が
伏して息を引き取る方を悲しむ者の方が
多いだろう」
「どうしても、解呪は教えられないんですね?」
「あぁ」
ルナさんは乾笑いをした。この人は本当に
「分かりました」
歩き出し、唯一の出入り口へと向かう
「…ローラが起きれば私も公爵のために
手紙を認めるとするよ」
これ以上必要LPを減らす手法は時間の無駄になってしまう。『無限の迷宮』に向かうべくルナさんの側にある扉に手を掛けたが最後に時間稼ぎをすることにした───友人としてできる精一杯だ
「これだけは忘れないで下さい」
「…ふふ、何だ。恨み言かい?」
「自分の身の安全より、貴方の死を友人として
悲しむのが2人…確実に居ることを」
「…ッ狡いぞ」
「では」
僕は休憩室を出た




