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『十六の死印について』〈生存者の存在〉

◆◇◆◇◆


 ベッドに腰掛け眠るマリアさんをそのままにアマネさんから色々聞き出すことになった。これまでの治療過程、薬物療法の数々───そのどれもが症状の緩和に役立つも根本的な解決には至らなかったことを知った


 そんな中でも、マリアさんとアマネさんが『幼馴染』で公爵と侯爵であること、辛いことばかりではなく微笑ましい物語を聞いた───それを話すアマネさんの表情は穏やかなモノだった【704】


◆【少しして】


「…?」

 

 昼に差し掛かり、執事の方が保健室へとやって来た。事情を説明した上で執事の『セラスさん』がマリアさんに声を掛けた


『重過労』が『疲労』に変わっていたので一応は大丈夫だろうか


「う…ん、セラス?」


 腕の中のマリアさんと目が合った


「へ?」


「…」


「え?あれ?ノル、さん?」


「はい、よく眠れましたか?」


 自分の状況を上手く飲み込めていない様子だったがマリアさんは程なくして、僕の首元から手を離し『ワタワタ』とし始めたのでベッドに腰掛けてもらった


「おはようございますマリア」


「マリアお嬢様、お迎えにあがりました」


◆【大慌て】


「おはようございます…ではありません!

 なぜ起こしてくれなかったのですか!」


 起きるや否やマリアさんはアマネさんに向かって怒り出した。あちらは良いとして


「ノル・スタルジア様。お嬢様の

 束の間の休息にお付き合い頂き

 ありがとうございます」


 頷いて返事をした


◆【オーディンギルドへ】


 エルナ先生に報告して、英雄学校を後に、ギルドへと向かった


「こんにちはローラさん」


「あ!ノルさん。虹色バッタの換金ですね

 少々お待ちを」


「それもありますがひとつお聞きしたいことが」


「はい?」


◆【解呪について】


「【解呪】を持っている冒険者ですか…」


【解呪】【L】【2000】

〈『状態異常』に対価を支払うことで

 『解除』する〉


 対価が高く、素の状態では手が届きそうになかった。マリアさんの誕生日は『4日後』と間近に迫っている。これは『十六の死印』の期限とも言えた


「司祭様や聖女様が【解呪】を持っていますが…」


 教会関係者でも『最上位』の方々だ。面会を取り付けるだけでも『数日』掛かるため、おいそれとは会いに行けない人たちだ。それじゃあ完全に手遅れになる。教会でたまたま出会す可能性に賭けるにはあまりに頼りなかった


「誰か腕のいい人は居ませんか?」


 ローラさんは難しい顔をした───顎下に指を添え、考え込み始めた


「いないことは、ないです。ただ───」


「ただ?」


「その、一応掛け合ってみますが

 期待はしないでください

 明日、改めてギルドに来ていただけますか?」


「っ!感謝します」


「ありがとうございます。それでは虹色バッタの

 換金額ですが───」


◆【解呪について】


 さてローラさんのそれだけに頼るべきではない───マリアさんを救うためには先ず【解呪】をした上で『十六の死印』に作用させる必要がある。それは『生命力(LP)』による対価を持ってのみ『発動』させることが『条件』となっている


 それの取得には何も知らない状態で『2000LP』を必要とする───これは受け手の『才能や状況』により、増減するため、理解を深めることで必要LPが減るものと思われるので『ローラさん』のそれを頼りにするしかない


 減ればそれだけ余裕が生まれるというモノだが、最悪『無限の迷宮』でどうにかするのも手だ。降れば降るほど『レベル』を上げるのに最適な環境になる───無理矢理レベルを上げてLPを捻出するのも手段として挙げられる


◆【手掛かり】


 懐事情の解決は済んでなお、金銭で解決できないことはこの世界に何万もあることを痛感する1日だ。なんてことを考えながら自宅で『写し』に目を通していると『それ』が目に入った


「ルーナ・ディ───」


 それは『死印』からの生還者の名前だった


「───ヒーラー…って」


 死印の種類ばかりは『十六の死印』とは別物だったものの、生存者というのがこの段階においては『光』となった


 その上、そのファミリーネームは『聖女』と呼ばれた人のモノと同一だった。奇しくも『教会関係者』の中でも『最上位』に位置する人物と同じだ


 一度は除外した選択肢。所在がハッキリしているため、これはダメ元で尋ねてみるのもひとつの手なのかも知れなかった。夕陽の掛かる空模様、迷った挙句、装備を整え玄関へ向かった


「…アリス、ごめん僕少し出かけてくる」


◆【教会へと向かうことにした】

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