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【暗視】【E】【50】『逆引き』

◆◇◆◇◆


 階段を降り続ける───それにしても300年か。それ程の年月をあの虚無に近い空間にひとりで居た何て考えると少なくとも僕なら下の階に行ってしまう自覚がある。余程の信頼があるのだろう


 300年は流石に『老朽化』をしないのだろうか?迷宮というのは凄い耐久性を持っているんだな魔力によるものだろうか───それにしてもだ。何のために作られたんだ


◆【6層】


 虎丸さんの友人、バシェルさんを見つけることを含めた目標の中で6層に入った。深刻だったのは『松明の消失』だった。視界の確保が難しくなっていた


「罠もあるって話だったけど」


 師匠の受けた罠が『同じ(死鎖呪)』だった場合、救出対象がひとり増えることになる───『300年』となればその可能性が高そうなのがとても恐ろしい点だ


◆【創作】


【夜目】というものを使って見ようと思ったもののこれの『LP』がまさかの『200』とかなり高く、直近での『LP』獲得で余裕があるからと言って無駄遣いは気が引けた


【鑑定眼】の『強化』もしたい所なので節約も心がけたい───逆引きを眺めていると『魔法分野』の【暗視】が目に止まったので【創作】を実行する


◆【753】


『魔力』を『集中』させ体にぶつける。目を開けると視界が一面、白と黒に置き換わり、色の区別はできないものの、輪郭がはっきりとした視界を手に入れることに成功した


 一気に見やすくなった


「改めて」


 視界の確保完了したので『隠密』しながら先へと進んだ


◆【呻くモノ、彷徨うモノ】


 6層。全体は、あいも変わらず石造りの淡白な通路に『迷路』と感じたものの、少し違った───所々が崩れており、苔むした箇所や何かの木の根、土の地面が姿を僅かに覗かせていた


 極め付けは『人型』の魔物がそこら中を徘徊しており、皆一様に虚空を眺め、口を半開きにし、低く唸る様な声を漏らしていた───呼吸は殆どしないのにも関わらず肺の僅かな収縮により空気の出入りから『声帯』を揺らすことでその声が出ているのだと『観察』で分かった


 外見的特徴に統一性はないもののそのどれもが『腐っていた』。不死者と呼ばれるものの特徴のひとつに似ている───生者を模倣する死者の肉体。ゾンビだ


 肉体に残った筋力と魔力による膂力の『再現』で動き続ける傀儡だ───所によってはこれを『札』と呼ばれる『道具』で操作すると聞くが、これを見ると強ち『否定』できないものだと思った


◆【共喰い】


 それはゾンビ同士での戦いでのこと。ぶつかったと同時に片方が振り上げた拳が振り下ろされた。それが放った打撃の威力は人間では自滅しかねない威力だった


 後先を考えない『全力』それをゾンビは何の躊躇いもなく初激で使った。そして、それを続け様に2発。肉体がほつれ様とも相手が『素材』になるまで続いた


 この、全力というのが肝だ。できるからするという『魔物』に近い思考を持っている存在が『方向性』を定められたとしたらどうなるだろうか───最強の軍隊の完成だ。しかもミンチ肉になるまで止まらないのだ


「考えた奴は人の心がないな」


 観察していると一風変わったゾンビを目撃することになった


◆【鑑定眼】


 名前:ゾンビ

レベル:110

スキル:【感染C】


◆【スキル詳細】


【感染C】

〈裂傷を与える攻撃に『ゾンビ化』を付与する

 対象への付与率、侵食力が増加する〉


『ゾンビ化』

〈この世の摂理に反する生物特性。不浄〉

〈筋力、耐力、頑丈に補正を受けている状態〉

〈思考、判断、理性に劣悪を受けている状態〉

〈不快感免疫を得る〉

〈肉体が活動を停止し、魔力依存に置き換わる〉

〈対象により効きやすさが変わる〉


【ゾンビ化耐性】『500LP』

〈ゾンビ化を防ぐ、一定の感染力を抑える〉


【ゾンビ化免疫】『7500LP』

〈ゾンビ化を完全に防ぐ〉


◆【獲得できるわけがない】


 いや、無理無理。7,500とか単位『リア』と間違えてませんか?しかも局所的な効果だ。手に入れても持ち腐れになるだろう


「…」


 バシェルさんは恐らくコイツに『状態異常』を受けて、もう───そんな最悪が脳裏を過ぎるものの暫く動向を観察する


「【浄化】効きそうだな」


 師匠の言っていた『聖属性には不浄や迷いを断ち切る力がある』というのはこれのことだろう。試してみよう


◆【暗視を手に入れた】


【暗視】

〈『魔力視野』を獲得する魔弾を放つ〉


【霊感】による五感への『魔力領域』獲得とは似て非なるモノ。魔力領域は『魔力特性』を見るもので魔力の持つ『何か』を『知覚』する力である


 一方『魔力視野』は『魔力そのもの』を捉える。自前の魔力によって働きかけ、空間にある魔力からの反射を『目で捉える』と言ったものだ


 ランクが上がることで視界の違和感がなくなるとのことだが今でも『輪郭』だけは捉えることができるのでそれ程苦にならない


「鉛筆だけの写生画を見ている気分だ」

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