『アマネ・フィアナ』〈公爵の付き人〉
◆◇◆◇◆
魔物である以上討伐する他なかった───そもそもが人を襲う性質がある以上野放しにする選択肢はなかった。かの魔物を放っておけばいずれ刺殺体が生まれていたことは想像に難くなかった
◆【鑑定眼】
産地:アロネ草原
区分:39
種類:角
ランク:A
所有者:ノル・スタルジア
スキル:【純粋】
◆【スキル詳細】
【純粋】
〈周囲の環境によりその性質を変化させる〉
◆【しかしなんとも不思議だ】
「なんだったんだ」
安らかに眠っていたそれの心臓を止めた───かと思えば、死体は忽然と姿を消し『角』だけが手元に残った。逃げられたのかと思ったものの、加速の予兆すらもなく消えた
確かに重みと温かみ、それと『重圧』───夢とするにはあまりにも『現実的』で、手元に残った素材が夢でないことを知らせてくる
◆【角はいいとして】
手早く怪我人を運ばなければいけない
「そこの御仁!…貴方は確か」
黒の長髪を後ろ手に纏めた剣士が僕を呼び止めた。急いで来たらしくその服装はやや乱れ気味、呼吸に至っては全身で行っている様に肩を上下させていた
「アルバート公爵の付き人の方じゃないですか」
先の一件にて顔合わせというより『見たことがある』と言った間柄の人と会った
「ユニコーンは何処へ…」
◆【角を巡って】
どうにも『ユニコーン』が目当ての様で周囲を仕切に警戒していた───しかし、件のユニコーンと言えば
「それなら『ここ』に」
『酔いどれ』の挙句、角を残して行方をくらませた。残った角を差し出して見せると彼女は頭を下げてきた
「それを譲っては頂けませんか?
それ相応の対価をお支払いしますので!」
凄い剣幕で迫ってくる『付き人』の方───この角がそれ程の価値を持っているとは考えづらいものだが、これは丁度いい
「ではこの方達を街の方、ギルドまで
運ぶのを手伝って頂けますか?
そしたらこの角を渡します」
◆【角を手渡し】
怪我人をギルドまで送り届けた。幸い重症者は居らず、ユニコーンの角の依頼もなかったので譲ることとなった───あまり苦労していなかったので逆に申し訳がなくなってきた
「本当にこんな角でいいんですか?」
「はい、ユニコーンの角は
万病に効くものなんです」
なるほど【スキル】ではなく、ユニコーンそれ自体が持つ『何か』が必要なのか───スライム種が持っている『万物を溶かし吸収する』種族特性の様なものがあるのだろう『鑑定眼』をその様に【編集】するのも良さそうだ
「それだと、乱獲の対象になりそうですね」
「ユニコーンの角に関しては『神鹿』同様に
その生産元、譲渡等の受け渡しが行われた場合は
その大元を明確化する必要があるので
余程阿呆でない限りは狩るものはいないかと」
「そう、ですか」
本当にそうだろうか。差し出した角を【鑑定眼】で見てみる
◆【鑑定眼】
産地:アロネ草原
区分:39
種類:角
ランク:A
所有者:アマネ・フィアナ
スキル:【純粋】
◆【所有者が確かに変わっていた】
「かたじけない…」
「公爵様とは血縁関係でしょうか?」
「…!そう言えば貴方は鑑定眼をお持ちか」
「あ、すみません。所有者が気になったので」
「余程高位の【鑑定眼】を
持っておられるのですね」
こうしてユニコーン騒動は幕を閉じた───早すぎる幕引きによって『依頼』もなく、『死者』もなしと『無難』な着地を見せたことはとても喜ばしいことだ
◆【ユニコーンの角を譲渡した】
その日は何も手につかず【治癒】をギルドの中で行い、謝礼を貰って帰ることになった───あの『ハーフエルフ』がいなかったのでジェンナさんに話を聞くと『ローラさん』が彼女を連れていったとのことだった
折を見て『彼女』のことをローラさんに聞くのも良いかも知れないな───そんなことを考えながら『2人』へのお土産を買って帰った




