『ジェンナ』〈ノルが少し気になる年上〉
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トロルの解体に関しては知識がないため、放置することにした。勿体無い気もするものの『底の見えない麻袋』は中に入れたもので重量の増加が発生し、移動問題が深刻になる可能性がある。確実な達成を目指すことに舵を切った
◆【イナゴの佃煮】
醤油、味醂、砂糖と『食材』となるものを一緒に煮詰めたもの───シャリーさんに勧められたので食べまで見ることにした
「…」
『昆虫』とあって気は進まなかったものの、いざ食べてみるとなんでことはなかった。受け取ったそれは一瞥ではイナゴとはわからなかった
下処理のされたそれは"小ぢんまり"としていた。噛んで飲み込むのに支障はないように触角や、足、翅は取り除かれていた───食感は細部に違いはあるものの、えびに似ており、甘辛く、醤油の焦げた匂いがまた食欲を掻き立てる
「気に入った様で」
「イナゴの佃煮美味しいですね…
もうひとついいですか?」
「勿論」
◆【623】
シャリーさんは『ラムウ』ギルドに籍を置いているとのことだった───理由は『特にない』とのことだった
「強いてあげるのであれば…家が近いから?」
「分かります」
世間話をそこそこに『ヨミール草』を何本か譲って貰い、それぞれ帰還することになった
◆【オーディンにて】
「ヨミール草、確認しました。お疲れ様です」
「ジャック・ランタンの依頼入ってますか?」
「はい、最近は杖の需要が増えてるみたいで
供給がやや遅れ気味です」
「分かりました。受注お願いします」
「ノルさん!」
「はい?」
「少し休みませんか?」
「何言ってるんです。期日までは」
ジェンナさんが不意に近づいてきて、頭を撫でられた───何故と思っていると彼女の手には『木片』が握られていた
「あぁ〜」
「トロルと戦ったんですよね。これ」
「まぁ、そうですが
ほら大きな怪我はないですよ?」
「…」
口を『へ』の字に曲げられたので大人しくジェンナさんの言う通りにした
◆【寝具に横になる】
「一応、労い方は心得ていますので───」
「いいんですか。月末まだ先ですよ」
「受付嬢が常にその手のことを考えている
訳ではないんですよ。ただ頑張られている方へ
労いの時間を提供したくなる時もあるんです」
「…そうですね。すみません」
◆【労い:マッサージ】
静かな一室。喧騒から解放された空間で『安心』と少しの『緊張』が入り混じった時間が流れた。簡単な受け答えの後、特に気になるところなどを伝え、ジェンナさんが『マッサージ』をしてくれた
温かい布で視界を遮られ、体の力が自然と抜ける───寝転んだ時に『脱力』できていたと思っていた筋肉の緊張もこの時点で自覚し、緩めることができた
「では、触りますね」
「はい」
そっと体に触れられる。肌越しに感じる───どこか『こそばゆい』ものの、首、胸、腹を軽く押し込まれる感触は心地よかった
寝返り背面へ───絶妙な力加減が凝り固まっていたであろう肩や背中、腰をゆっくりとほぐしていった
「痛くない、ですか?」
「もう少し、強くても良さそうです」
心地よい。体の奥深くに溜まっていた───休んでも抜けきれない疲れが『指圧』によって押し出される様だった
身体が熱を受け、僅かに汗ばむ───じんわりと温まり、血行が良くなっていくのが分かった。更には『腕』『足』と普段自分でも気づけないような細かな凝りが流されていった
使い続けていると徐々に溜まっていく疲労の層がひとつひとつ溶けていき、体の表面だけでなく、芯から解放されていくような感覚で、呼吸が深くなり、気がつけば意識が『眠り』に移行していた
◆【673】
「ノルさん、お疲れ様でした」
「え?あ!寝ちゃってました!?」
体は軽くなり、心は整っていた───脳裏にごちゃ混ぜにされていた『問題』に対して、ふと『閃き』を受けた
『ヨミール草』の問題において『栽培』ばかりに目がいっていた僕にとって、『閃き』によって得られた『薬効』に対する『理解を深める』───それが齎した『それ』は非常に新鮮だった
◆【急いで準備を整える】
「いってきます」
「え?…いってらっしゃい」
足早に向かうべくは『ジャック・ランタン』の討伐。その後、目指すのは『図書塔』での『ヨミール草』の『薬効』確認だ───もしかしたら『薬効』に関して大きな影響を与えることができるかもしれないことに心が躍った
◆【693】
『受付嬢ランキング』にあった『ジェンナさん』の表は『5位』を目前に伸びを見せていた。最下位圏内は脱出できたのを見るに順調だった




