『ジッポの森』〈街馴染みの森〉
◆◇◆◇◆
「ノルさん!さいてー!」
ギルドに到着して、その人───ローラ・メトローゼさんと顔を合わせた第一声がそれだった
「散々利用した挙句に他の受付嬢に目移りして
この!浮気者!!」
「ん〜言い方に気をつけて下さい
受付嬢には『あれ』があるんですよね?」
『成績不振者への罰則』───それを指すために『受付嬢ランキング板』を指さし、弁明を図った
「まさか…」
「はい」
理解してくれたか
「成績の悪い子の体目的ですか!?
成績を上げるために身体を売る子につけ入って」
「ん〜???」
公衆の面前で僕はなんという汚名を塗りたくられているのでしょうか。冗談抜きで吐きそうだ
◆【頭の中身真っピンクかよ】
「私の方がもっと…」
「あの、もう行って良いですか…流石に」
「ノルさんにだったら…もっと特別な券を
あげちゃうかも…しれませんよ?」
ダァメだこりゃ
誤解の加速力がエゲつない───手綱ちゃんと操作してないな。長いまつ毛と二重のローラさんの上目遣いが誤解の留まる事の知らなさを物語っていた
なんでこうも僕の周りには『残念美人』が多いのやら───それだけ、受付嬢の仕事は過酷なのだろう。専属の枠というのはそれだけ『彼女達』にとって大事な物なのだと再認識した
「後でジェンナさんからお話聞いて下さい
それでは…」
「た、た、他人の情事を聞く趣味は私には」
「…はぁ〜」
ジェンナさんの作業部屋へと向かい、リザードマンの『素材』と『ゴブリンの手首』を『提出』し、『ローラさんの件』を伝えておいた
「すみません、ノルさん。説明しておきます」
「お願いしますね…」
ついでに『ジッポの森』での『薬草採取』の依頼の受注をお願いしておいた。本来なら総合カウンターでの手続きに時間を取られる───『専属受付嬢』がいる場合はその時間を移動に当てられるのは立派なメリットだなと思った
◆【ジッポの森へ】
鳥の鳴き声と木漏れ日の差すそこは、不気味な程静かな街の近くにある深い森だ。浅いところでは子供達も遊んでいたりする
どこか懐かしい雰囲気を受けるそこで見つける薬草というのは『上位精製』には必要不可欠な『ヨミール草』だ。『汎用素材』と違い、これには代替可能な素材がないため高額で取引されている
高値なのはそれだけに止まらない───このヨミール草は『ヨーミル草』という毒草に非常に酷似している外見をしている
「ヨーミルばっかだな…」
森に入って直ぐに薬草らしき物が見つかるものの、特徴的な白い花も葉っぱの形状も違うものばかりが見つかった───念のため鑑定してみるも案の定『ヨーミル草』だった
「…奥に行かないと難しいか」
浅い場所は子供も遊べる程に『安全』だ。それは『素材採取』の時にも真っ先に刈り取られるという事だ。月に入って早終盤戦───残っていたら奇跡だ
◆【少し進み】
木陰の厚みが増してきた。陽の光が薄れていく、こういう場所では奇襲が有効だったりする
「…う〜ん」
森を進む背後で木々が揺れ動き、葉っぱ同士が触れ合い、擦れ合う音が聞こえたので【石弾】を構え、後頭部を守る
『ギャッ』
『グリンゴブリン』だ。僕目掛けて棍棒を振り下ろしてきていた。棍棒は石弾に弾かれ、空中で無防備を晒す『ゴブリン』を『石弾35』で撃ち抜く、降ってくる血液からは『毒草』の『冷感』を持った臭いがした───『ヨーミル草』の毒性だ
「…」
それは『催涙』や『感覚麻痺』などの『状態異常』を引き起こすものだ。多量に摂取すれば『ストレス過多』を引き起こし、身体の制御が効かなくなったりするので『濃縮』されたゴブリンの体液は回避案件だ
◆【誰かと来た覚えがあるものの思い出せない】




