『死者からの贈り物』〈不運の直剣〉
◆◇◆◇◆
4層で『死人』との会合。紆余曲折ありながら、気を取り直して『死者の道』を【浄化】することにした
よそ見をしていたせいで『人』とぶつかってしまった。がその身体に『弾かれる』ことはなく、通り抜けてしまった
「いっ!」
『君大丈夫か!』
体から脱力を受ける───途端に身体の力みが上手くいかなくなった
◆【1689↓】
【1683】ほんの少し触れていただけでLPが凄い勢いで失われていった
「…ッカ、ハッ」
身体から体温が抜けていく、身体が急激に冷やされていく気分だった。全身に寒気が伝播し、程なくして治ったものの─── 神官様がトんでくる訳だ。悪意を持って囲まれていたらと考えると途端に恐ろしくなった
『おい!お前何をしたんだ!』
『違う!僕は何もっ』
「すみません。僕の、せいなんです」
『透過する要因』と『拒絶する要因』について検証を重ねたもののこれと言った進展は得られなかった───変わったことといえば僕が『見える』様になったことだけだ。何かあるとするならその点くらいしか思い浮かばなかった
◆【手を差し出し、握手をする様に】
【浄化】に触れる人達。元々どこか希薄だった気配がひとり、またひとりと消えていった
『あぁあ、これでようやっと』
『心地よい』
『ありがとう。お兄さん』
その光景は何処か儚げで───唯一の救いは彼、彼女らが皆一様に『幸せな顔』をしていたことだった。こんな場所に閉じ込められ、さぞ辛かったことだろう
◆【静まり返った空間】
「貴方で最後になります」
最後に残ったのはあの石碑に案内してくれた人だった。改めて見ると、他の方と比べ、装いが冒険者としては一線を画すものをしていた
『ありがとう、最後に名前を聞いても…』
「ノル・スタルジアと言います」
『そうか、ノルさん。わざわざありがとう』
「いえ、できることをしただけです
気にしないでください」
手を差し出す
『そうか、貴殿の様な者に付き従いたかった』
「…光栄です。そう言って貰えて」
『些か訳ありなものだが
業物故に貴殿に差し上げたい代物がある』
「武器…ですか。ですがそれは…」
『いや、すまない。今は持っていない
正確にいうなら『その』情報だ』
◆【業物・諸刃の直剣について】
『我が輩の持つそれは『諸刃の直剣』
我が主君より賜った呪われた逸品だ』
「呪われた…」
『左様、それを振るえば不運に見舞われると
やむに止まれず手放したものだ』
彼が話してくれたのは『300年前に存在した曰くつき武器』の話だった───それは埋められ、今も眠っているかもしれないとのことだった
「ありがとうございます」
◆【後悔のしがらみ】
『我が輩にできることはこの程度
我が名声は潔白の血潮に触れ
最早人斬りとなっていた。我が浄土に
行くことは果たして許されることなのか』
『後悔』が溢れ出していた。彼は『他の人』とは少し違った。しかし、僕にできることは【浄化】で送り出すことくらいだ───彼に近づき、手を差し出す
僕から触れても【浄化】は発動するだろうけど、心がつっかえてそれができる気がしなかった。どうすれば───そういえば
「こう言っては何ですが
自らを傷つけても贖罪にはならないと
教えられたことがあります」
『それは…』
「その人も自らの行いを恥じていました
ですが、浸ることで慰められるのは自分だけと
やらなくていい理由にはならないと
やってしまったことは消せないと」
◆【師匠の言葉】
「それを背負わないこともまた
罪になってしまうんだとも言っていました」
『…』
「【浄化】は背負う行為だと思います」
自分を許せるか───彼は静かに手に触れた
『感謝の意を…』
「ただの受け売りです」
『では、その者に我が輩からの言葉をお伝え下さい
救われた。と』
誰もいなくなった空間に背を向ける
◆【5層に向けて、階段を下った】




