『4層に無縁仏』〈死者が跋扈する空間〉
◆◇◆◇◆
入学式まで残り『5日』───『無限の迷宮』での散策は少々面倒くさい事態になっていた。デッドリーパーが再び4層へ下るための階段を塞いでいたのである
レベルも何もかもまるっきり同一の存在が大鎌を携え、佇んでいた
やはり、この下の『墓場』がこれの出現を手助けしているのだろうか、僕は剣を抜き、走り出す。デッドリーパーも鎌を構えて距離を詰めてくる
『っ!』
「…」
【魔弾】による一撃でデッドリーパーに隙を与え、頸椎目掛け、剣を振り抜き、着地と同時に降って来た頭蓋骨に目掛け剣を『全力』で振り下ろした
◆【デッドリーパーの頭蓋骨を手に入れた】
最初こそ恐ろしい存在だったが慣れれば最早恐るるに足らずとは
今回は『素材』として残ったので『一応』回収しておいた───人骨と知ってあまり触れておきたくは無いものの、何かと入り用なため、仕方なくだ
「…え?」
4層に到着した時、眼前に広がる光景に『別の意味』で足を止めることになった。そこには『透き通った身体』を持つ人が入り口近くに屯っていたのだ
「…」
その背格好は明らかに統一性がなかった。『お墓』同様にだ。冒険者らしき装いから『幼い子』までいた───この迷宮に迷い込んだとは、到底考えられなかった
『おい、また生きた人だぞ』
『無理無理、見えてない人だ』
『なんだ。期待して───』
「あの、貴方達は?」
『…』
「…?」
『…』
『瞬き』『見回し』『"見えてる?"』と身振り手振りをした───頷いて見せると途端に群がられた
『みんな人だっ!生きてるし
見える人間が来たぞ!』
『見えないんじゃなかったのか!?』
◆【話せる死者という存在】
すし詰め状態、どうりで進めない訳だと思いつつ話を聞くと───これまた統一性のない『死因』が語られるばかりだった
しかし、一貫して『死んだこと』と死んだ後『突然』この場所で長年───存在し続けていることは共通していた
『俺たちは死人なんだ』
「死人、ですか」
意思を持った魔力───『魔力生命体』。それが彼らだ。通常の『魔力』に似て非なるもので、そこに存在し続ける『魔力災害』の一種とされている
しかし、王国近辺での目撃情報どころか、昨今の目撃情報は全くと言っていいほどなく───稀に『墓地』などで見かけることがあるものの、そうなれば『神官』がすっ飛んでいくので黄金スライムよりは見かける程度の目撃情報に留まっている
◆【話を聞いて】
どうにもこの人達の生きていた時代というのも統一性がなかった。聞いた中で1番古いもので『300年前』というものもあり、正直驚いた
案内され『石碑』を見れば確かに『神聖歴1200年』───本当に300年前の石碑があり、信じざるを得なかった
「皆さんは、その、この迷宮に入られたことは?」
『ねぇな。少なくとも迷宮に墓をこさえる程
馬鹿ではなかったはずだ』
『戦争ばっかでなぁ、そんなのに
入る余裕はなかった』
『疫病が蔓延してそれどころじゃ…』
全員が『迷宮外』だった。正確にいうなら『迷宮内』もいたものの『無限の迷宮』という物には入ったことがないとのことだった
◆【5層への階段を発見した】
このまま降ろうかと迷っていると『死人』のひとりが近づいて来て、声を掛けて来た
『君、お願いがあるんだ』
「…なんでしょうか」
『ここに【浄化】のできる神官を
連れて来てくれないか?』
「神官様でなければ駄目でしょうか」
『いや、その必要は…まさか』
「僕で良ければ【浄化】させていただきます」
『できるの!?そんな
頼りなさそうな顔してるのに』
「人相で能力は決まらないでしょ…」
◆【失礼やっちゃな】
そんな『失礼な人』は他の人達にフルボッコにされていた。『そのままの意識で存在する』───師匠の念話と同じ仕組みで『本音』がそのまま出るとのこと。いや、だからと言っても酷いけどね?




