『ガモン・チョコチフ』〈頼れる先輩〉
◆◇◆◇◆
学費の心配は『返済』の問題に置き換わり、今は『アリスの学費』や『母の治療費』その他『諸々』の出費の補填に『ギルド』に来ていた
「あ!ノルさん、ちょうど良いところに」
「何でしょうか」
ローラさんが声を掛けてきた。こう言う場合は『割りのいい依頼』をローラさんの基準で持って来てくれるのでハッキリ言って『有難い』───とても助かっています
「草原にビッグラビットが
出たみたいですよ。是非討伐しましょう!」
「う〜ん、ひとりだとですね…」
『ビッグラビット』───人の背丈を遥かに超える大きさに成長した野兎。強靭でいて俊敏、厚い肉の壁で致命傷を悉く避ける厄介な生物である
個体数が爆増することがあり、特定地域以外で発見された場合、駆除対象となっている。非常に美味であり、討伐が盛んに行われている───討伐難度は『5段階中』下から2番目の『B』に当たる
今回に至っては『個体数の爆増』により、国が討伐依頼を発表したとのことだった
「ではガモンさんと一緒にいかがですか?」
「いいんですか?」
「ちょいちょい、俺の意見はガン無視かい」
「お久しぶりですガモンさん」
「おう」
「いいじゃないですか、ガモンさん
いつも暇してるじゃないですか」
「ひ・ま・じゃ・な・い
非常事態要員だって言われてるだろ…ったく」
「って言っても非常事態なんて
いつ起こるんですか?」
「それが分かんないから
非常事態なんだろうが!」
「2人とも仲が良いですね」
「「どこが!」」
◆【取り敢えず】
「ガモンさんはどれくらい強いんですか?」
「おいおい、俺はまだ行くって言ってねぇぞ?」
「…給料泥棒」
「はぁ!?」
ローラさんとガモンさんがまた喧嘩を始めてしまった。埒が明かない───かと言ってひとりで行こうものなら怪我をする可能性がある。すみません、ガモンさん
◆【鑑定眼】
名前:ガモン・チョコチフ
年齢:32
種族:人間
レベル:82
職業:冒険者 娼館『巨乳の森』受付
スキル:【棍術B】【ひと突き】【土盾】
◆【ん?】
「きょにゅ…?」
「…!」
おい待て、と言わんばかりにガモンさんに口を塞がれた。その目は「何口走ろうとした!?」と青ざめていた
「きょにゅ〜?」
「あ〜なんだぁ?急にビッグラビットを
討伐したくなったなぁ〜ほら、ノル坊行くぞ?」
◆【ビッグラビット討伐へ】
アロネ草原に足早に到着した
「おい、ノル坊?お前加減ってものを知っておけ」
「すみません、てっきり周知されてるものかと」
「アホ吐かせ、知られた日には
どんな目で見られるか…」
「なるほど、以後気をつけますね」
「頼むぜ?本当に」
◆【草原を散策】
「ん?ゴブリンがいんな」
「本当ですね」
遠方からこちらを視認した『ゴブリン』がこちらに走って来た。非常に興奮している様子だ
「どうするよ?」
「肩慣らしはしなくても大丈夫ですか?」
「おいおい、俺は怠けてるわけじゃねぇよ」
「いえ、そう言う意味ではないです」
「わぁってるよ
たく、しょうがねぇ。いっちょ見せてやるよ」
ガモンさんが姿勢を低くし、根棒を構えると、一足、二足と弾むようにゴブリン目掛けて距離を詰め、目にも止まらぬ速さの【ひと突き】がゴブリンの喉を捉えた
「そらぁ!」
もう1匹に対しては薙ぎ払いによる横断。一瞬にして2体を仕留めてしまった
「どんなもんよ」
「おぉ」
拍手が自然に出た
◆【1260】
「わざわざ手首回収すんのか?」
「何かと入り用で…不快でしたらやめますが」
「ゴブリン程度なら別に構やしねぇよ
薬のことなんざ、全く興味が湧かねぇしな」
ガモンさんの計らいでゴブリンの手首を回収させてもらった
◆【大賢者】より
『討伐難度』───ギルドで用いられている『討伐に必要な指標』である
『A』───最も弱く、人間にほとんど害を与えない魔物で極めて低い脅威を持っている対処を間違えなければ先ず死なない
『B』───準警戒対象、訓練をしていない一般人は出会えば危険に晒される。冒険者なら容易に倒せる程として、設けられている
『C』───要警戒対象、集団にて対処することが推奨されている。冒険者でも襲われると危険となり、油断せずとも死者が出る可能性を持っている
『D』───専門的な訓練を受け、準備をしても苦戦する領域。討伐には周到な準備を持って挑むことが前提とされ、出現場所によっては一般人の避難も検討される
『E』───国や街の放棄を前提する敵対存在。討伐にはSランク冒険者があてがわれることになっている
これとは別に『F』『G』も存在するものの公表はされていない。『F』は防衛戦。『G』は想定範囲外かつ国家機密事項とされる内容である
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