『英雄学校』〈平然と地雷を踏み抜く組織〉
◆◇◆◇◆
「第二試験お疲れ様でした
これより入学前ランク分けを行います
名前を呼ばれたら前に来て『この』バッヂを
つけて下さい」
そう言って教師が掲げたのは『階級章』に似た作りのバッヂだった───『開かれた本』に『ローマ数字の1』があしらわれた逸品だった
「それぞれのランクには優劣はございません」
◆【Cランク】
「シャルフ・ラグデン」
1人目が呼ばれた───『細工は水晶』。透明度の高い宝飾品だった。裏地の透けたその見た目は他のバッヂと違い『儚さ』と『親和性』を見せている
◆【Bランク】
「グレイ・ヘルネスト」
11人目が呼ばれた───『金属細工は銅』。光沢のある赤茶色の鉱石だった。黒の中でも煌々と照り返してくるその見た目は『開拓』と『推移性』を見せている
◆【Aランク】
「サシャル・オズバーン」
21人目が呼ばれた───『金属細工は金』。光沢のある黄色の鉱石だった。黒の中に浮かぶその姿は『太陽が如く』。『頂点』と『協調性』を見せている
◆【Sランク】
「レノア・ブルードン」
26人目が呼ばれた───『金属細工は銀銅』。光沢のある薄赤色の鉱石だった。その輝きは別格のものがあった。唯一の合金であり『別格』と『打開性』を見せている
『27人目』『28人目』『29人目』と呼ばれ
「ノル・スタルジア」
30人目として呼ばれた。バッヂを受け取った
「以上で入学前ランク分けを終了致します
受付で───」
◆【940】
会場に穏やかな雰囲気が漂い始めた。これで入学試験の全工程が終了したことを肌で感じつつ、29名から背を向ける
「ノル・スタルジア!」
そんな僕に『ブルードン伯爵』が声を掛けてきた
「レノア・ブルードン伯爵
合格おめでとうございます」
「…何よ。改まって
それよりもノルドアのことは」
入学試験を『合格できる実力』の『実績』要項は満たした。後は『辞退』すれば、後は野となれ山となれだ
「それに関しては問題ありませんよ
デッドリーパーの件で『特別枠』での
入学との話でしたので」
「…あの、デッドリーパーは───」
◆【貴方が倒した】
「───のかしら?」
「いえ、私は…」
「謙遜というのは時に相手を貶めるものよ
ま、まぁ実力的には私だって倒せるわ」
「謙遜というより、事実なんです
倒し切れず、シャリーさんに止めを」
「レノア…」
「はい?」
「敬語も要らないと再三言いましてよ?
それに何故あの子だけを名前で呼ぶのかしら」
「…今、それ重要ですか?」
「あら?不服かしら。その他人との関係に
一線引く態度、鼻につくからやめて下さる?」
「…レノアさん」
なんかいきなり距離を詰めてきたことに内心ビビりちらす───利用価値はあるものとしての評価は受けられた様だ。『騎士に〜』なんてことはないか
◆【距離の詰め方が極端】
「…こちらも非礼を詫びるわ
準男爵と下に見ていたのは事実なの」
「いえ、伯爵と準男爵です
あの場で最も階級の高い方が畏まることこそ
貴族の名折れだったと思いますよ」
苛ついたのは事実だが
「…物は言いようね」
◆【手を差し出された】
「1週間後、改めてよろしく」
「はい」
手を握り返し、握手をした
◆【受付にて】
「ご入学おめでとうございます
1週間後の入学手続きまでに
入学金300,000リアをご用意下さい」
たっかいな。他の相場が『200,000リア』なところをどうしてこうも高いのか気になるところだ
「入学手続きまでに用意できなかった場合は
失効となりますのでくれぐれも
お気をつけて下さい」
「結構高いですね」
「他校と比べ、本校には特別授業のカリキュラム
が導入されております。保険関係においても
充実していると自負しております」
「なる、ほど…」
「ノル様は貴族ですので金額的には」
たけぇよバァカ。貴族が全員大金持ちとでも思ってんのか?こちとら絶賛就職活動の真っ最中だよ
「今から辞退することも可能ですか?」
「入金期限までは一週間ございます
それまで検討を重ねるのも
ひとつの手ではございませんか?」
「その位は…」
「そうですよね。入学金を確認しましたら
魔物の素材をお返しします」
「え?それはどういう」
「第一試験時に本校に持ち込まれた素材は
条件付き『仮渡し』という形を取らせて
頂いております」
◆【つまり】
「入学金を支払われない場合
素材の使用権利は本校へ譲渡となり
素材の売却を持ってこれを補填するため
素材の返還は行われません」
「その説明って最初に行われましたか?」
「…次の方〜」
コイツ露骨に無視しやがった。僕『英雄学校』大っ嫌いだわ。この守銭奴めが!
◆【英雄学校への入学権利を手に入れた】




