『虹色バッタ目』〈一攫千金の昆虫型魔物〉
◆◇◆◇◆
「あ、ノルさんちょうど良いところに」
「?」
ギルドで依頼板───依頼の内容を書いた羊皮紙を張り出し、不特定多数に周知して貰うための『公開依頼』の前で魔物に関する情報を集めているとローラさんに声を掛けられた
「今年もあの季節がやってきましたよ」
「あの季節?」
「ご存知ありませんか?
虹色バッタに虹色イナゴの季節ですよ」
『虹色バッタ目』───環境に合わせて体色を変化させる魔物。植物を食い荒らすことで有名だが、その中でも虹色バッタは『毎年数が変化する』特殊な魔物で個体数を維持しているとの研究もあり、かなり変わった生態を有している
◆【バッタマニア】
ローラさんによると【体色変更】は死んでも有効で意図せずとも一部の層で爆発的な人気があり、一時期においては『特定の体色』の価格が高騰。『特殊な依頼』が殺到するとのことでギルドでも『別途依頼板』を出す程に人気なんだとか
僕には難しい世界だと思った
◆【悪気なく踏み抜かれる地雷】
「そう言えばバッタを集めている人がいますね」
「そうなんですよ。合わせて捕獲に
挑戦するのも良いですがノルさんなら余裕ですよ」
「何がですか?」
「賢者スキルがあるじゃないですか?」
「そう、ですね…」
屈託のない笑み、僕が【大賢者】を使えると疑うことのないと言った様子だった
◆【魔物の情報を収集した】
「ノル、どうでした?」
外で待機していたシャリーさんに大まかな説明をして、街の外へと向かった
「あと、バッタがよく売れる様ですよ」
「バッタが、ですか?」
「本当、不思議ですよね」
「イナゴなら分かりますが」
「え?」
「え?」
取り敢えず、素材採取に合わせて袋を購入して、街の外へと繰り出した
◆【ゴブリンやスライムを倒す】
王国からそれほど離れていない場所を流れるユムール川周辺にて───街の中に生活用水を引き込む要の水場の周辺にて魔物の討伐を行う。この時期になると魔物が増えるのだとか
こちらとしては無難に市場に並ぶ魔物が増えて良いと考えたものの、魚影が度々流れ、周辺に『釣具屋』があることから『釣り場』としても活用されていることが分かった
そう考えると『釣具屋』はこの時期には商売上がったりだろうな、と思った
◆【自殺志願者】
素材を集めていく最中、度々捕獲装備だけで外に出ている輩を見つけて正気を疑った
『捕獲』───魔物の素材には『鮮度』が必要なものがあり、これらを新鮮な状態で運ぶ場合には『存命』状態を維持することが最も適している。とされている
小型の魔物なら『網』や『籠』。大型ともなれば『罠』や『檻』などを用意することもある。しかし、相手も『生きている』となれば抵抗する
加えて、いくら捕獲といっても『外』だ。1匹とも限らない上に捕獲対象以外の魔物がいることは想像に難くない───捕獲装備だけを用意して外に出ると言うことは『自殺』とさほど変わらない。それをしているのが『若い衆』なら尚のことだ
◆【見かねて声をかける】
「すみません」
「はい?って貴族かよ。なんか用?」
僕の胸のバッヂを見た3人パーティのひとりが2人を先に行かせ、僕を真っ直ぐと見た
「護衛の方は連れられていないんですか?」
「ッチ、これだから…
いねぇよ。取り込み中なんだよ貴族様」
「もしかしなくてもバッタ集め、ですか」
「そうだが何か?虫は嫌いか?」
「いえ、見たところ捕獲用の装いばかりだったので」
僕の問いにその人はあからさまな苛立ちを見せた
「あのな貴族様?あんたらと違って
装備に時間とな?掛けれる訳じゃないんだよ」
「ですが!」
「なぁ、もう良いか?稼がないといけないんだ」
心配だけど、彼らもこれが仕事なのだろう
「…十分、気をつけて下さい」
「分かってるよ」
◆【余計なお世話だった】
「ノル…どうしたんですか?…あぁ」
シャリーさんと合流し、先の一団を眺める僕を見てシャリーさんが言った
「イナゴ集めですね。煮て漬け込んだりすると
美味しいですよ」
「食べるんですか!?」
「えぇ、乾燥させて砕いて練り物に混ぜたり
焼いたり、煮たり、茹でたりとあれでいて
味も悪くないです」
「ふ〜ん」
「数がよく増え、淡白な味わいながら
健康にも良く、一品追加に丁度良いと
某の地元では良く見かけます」
「そうなんですね」
食料集めと『依頼完遂』を並行してできると言うのは確かに魅力的だ。しかし、あの見た目のものを食べるとなると勇気がいる
「気になりますか?」
「ん〜怖いもの見たさで」
◆【ゴブリンの手首とスライムを集めた】




