『シャリー・ノルドア』〈仮試験通過者〉
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晴れた空、いつも通り起き、家のことや『準男爵』を示す『バッヂ』を胸につけ、『便箋』を持って家を出る
今回向かうのは『ギルド』でも『無限の迷宮』でもない───推薦状を受けている。これが持つ『実績』を形にするべく『英雄学校』の試験を受けにいくのだ
◆【推薦を受けるだけの人間】
大理石で造られたアーチを潜る。そこから先は英雄学校の敷地内だ。王国の中でもかなりの面積を誇る巨大施設だ
英雄学校への入場時には『階級章』と任意書類───『推薦状』や『仮試験通過証書』を必要とする
『仮試験通過証書』は『平民』とされる方が英雄学校を受験する際に通過しなければならない『篩』であり、本試験の1週間前に行われていた───貴族階級の人間はこれを受けることなく『本試験』に挑むことができる
◆【銅細工】
シルクハットに剣が添えられた見た目のバッヂが『準男爵』を示す『階級章』だ
門兵に『これ』と『推薦状』を見せ、受付へと通された。受付を終えると本試験会場へと通された
◆【人が大勢いる中で起こること】
本試験会場は人でごった返しており、人にぶつかったり、押されたりしてまともに歩くことができない状況が続いた
不意に大きく押され、その先で人を押し倒すことになった───踏ん張りしな、ぶつかった人を支える
「あ…おい気をつけろ!エセ貴族」
「…」
ぶつかってきた奴は僕の胸元のバッヂを見るなり態度を変えてそそくさと逃げていった
ぶつかっておきながら、なんて言い草だ。その言葉遣いが自らの品位を貶めていることに気がつくことがあるといいな。無理だろうけど
◆【平民出身者】
「すみません、某のせいで」
「いえ、ぶつかったのは僕ですので
謝るなら僕の方です」
『それがし』と言った声は中性的な声色をしていた。前髪だけは長く、他は短く整えられた紫がかった髪、装いはダボっとした緩やかなものだった
「僕はノル・スタルジアといいます」
「某はシャリー・ノルドアと申します」
服装からして近辺の人ではないことがわかった。しかし、何とも不思議な雰囲気を漂わせる人だこと、背は僕の方が低いのに気迫を感じる
「あの某の顔に、何か…」
「いえ、服装がこの辺りじゃ見かけないなと
思ってつい見入ってしまいました」
「あぁ、これは異世界から来た方が広めた物で
キモノという物らしいです」
◆【560】
「へぇ…動き難くなることはないんですか?」
「慣れてしまえば、この通り」
目の前で舞って見せたノルドアさんの動きは素晴らしいものがあった。動きの起こりが感じられず、動いて初めて反応できるものだった
「おぉお」
「金の卵達よ」
そんなこんなで会場にしわがれた声が響いた
◆【理事長の挨拶】
「本日は集まってくれて感謝する」
先まで騒いでいた会場が一瞬にして静まり返った。理事長は挨拶をそこそこに話し手が教師らしき人に変わると試験内容の話題に移った
「本試験は第一試験、第二試験に分かれ
その総合点で合否を決定する。くれぐれも
人死の出ぬ様、心掛けるように」
◆【3人1組】
「第一試験はチームの結成をひとつ
学園に入る者、協力関係となる以上
これを欠いては相応しくない」
試験会場は大勢の人でひしめくことになった。我先にと、いうわけではなく仲の良い者を探すことが大半のようだった
自由に組めと言われたものの、元々仲のいい友人が決まっている中での溢れものというのは中々どうしてキツイものがある
「ノル殿、組みますか」
「助かります」
「いやはや、これは運命的なものを感じますね」
さて、残るひとりはどうしようかと考えていると
◆【黒髪の長髪の女性】
「組まない?」
伯爵家の方に声を掛けられた
「これは伯爵様、お声をかけて頂き
ありがとうございます」
「敬語はいらないわ、合格したら一応階級
なんて関係なくなるし」
クールな物言いだ
「寛大な心遣い痛み入ります
私はノル・スタルジアと言います」
「某は…」
「私はシャリー・ノルドアよ」
伯爵家の令嬢が名乗った。平民のシャリー・ノルドアさんを押し除けるようにして名乗った。その名前は奇しくも『シャリー・ノルドア』だった
「…」
「え?」
「何か?」
若干2名がそれの意味を知らない訳もなく、気まずい雰囲気になるのだった
◆【2人のシャリー・ノルドアが仲間(仮)になった】




