【失神癖】【O】【ー】
◆◇◆◇◆
ルーナさんは何を思ってルナさんに【失神癖】なんて【スキル】を授けたのか───その答えは日記にあった
◆【志とはもうひとつ】
ルーナさんは『ルナさん』が【解呪】を習得することを良しとしていなかった。代償を知ったその日からどうにか『聖女』という役回りから遠ざけた
しかし、母の背中見て育ったルナさんもまた人助けをすることに躊躇することはなかった───悲しいことにルーナさんは立派だったのだ
己が娘さえ他人と割り切れる心があれば、或いは背中を追ってくれていると『前向き』に捉えられたなら、これは喜ばしいことだろう───娘を死地に送り出すことを知っていなければ手放しに喜べただろう
◆【身を費やした創作】
そして、ルーナさんは『祈り』により大きな代償を払った───ルナさんに『無理』をさせない様にするために『無茶』をする前に手が止まる様にと
「ルナの母親がそんなことを」
借りていた本をルナさんに手渡した。それは『魔導書』と偽り僕に貸し出されていた一冊であり、ルナさんの母親、ルーナの遺品でもあった
「ルナさんに似た選択をされる方でした」
「まさか、母も私に継がせたくなかったなんて
何とも言えない…な」
ベッドの上、上半身を持ち上げ起きたルナさんが日記を受け取り、それを少し眺めて蹲った
「死ぬのがより一層
惜しくなってしまうでは無いか」
「…」
くぐもっていて、啜り上げる呼吸が部屋に響く───誰が誰のために動いているのか。知れば知る程に感じるまでに遅過ぎたと立ち尽くすことになった
「ルナさん」
「ルナ、今からでも」
「いや、だからこそ───」
そして、その遅さが止まる意味を奪ってしまう
◆【決意】
「───この【スキル】を乗り越えるべきだ」
「ルナ!どうして」
「シャリー…ありがとう。寄り添ってくれて
でも、立ち止まる訳には行かないんです」
「…ッ!ノルも何かないの?」
「公爵を救うのは僕も賛成ですよ」
「ノ…ノル?何を考えてるの」
『覚り』っていうのは本当に凄いな。僕が考えてることが全部筒抜けだ。でも、今は話して欲しくないかな───ルナさん、自分はいい癖に他人のことになると頑固みたいだし、僕の口から伝えたい
「シャリー?ノルは一体
何をしようとしてるんだ?」
「…」
「ルナさん、代償のことについてひとつ
後【解呪】について、ひとつ
お聞きしたいことがあります」
◆【『〜死印』の『解呪』には【解呪】が必須】
聞くに『失神癖』は『徐々』に強度が増していくものだった───それは、命の危機に瀕する『忌避反応』の誘発と言える代物だった
もし戦闘中に『気絶』したら危ないだろう。と考えていたもののその部分は織り込み済みの様だ───さすが【Oランク】だ
「解呪を特定の方法で躊躇うのは
失神癖のおかげなんですね」
「何を悠長な…これがあるせいで私がどれだけ」
まぁ、人目を忍ばなければ気軽に『気絶』もできないとあっては不便極まるものながら───結局のところ
「それのおかげで早死にしてないんです
ルナの母には感謝ですね」
「ッグ」
「ですが生命力に手が掛かれば
ルナさんの意思とは関係なく逃げ出す選択を
するのは間違いないですね」
「…」
「なのでこれを使います」
麻袋から取り出した『鎖』を見て驚くのは『シャリーさん』だけだった───【生命同調】を持つ鎖は300年前に『超超一流の冒険者、この大陸で大活躍していた絶世の美女』が受けている『呪いの一種』だ
「これは」
「死鎖呪という、実体を持つ呪いです」
「何て罰当たりな!教会にそんなもの…っ」
有無を言わさず、ルナさんの身体に鎖を当て、もう一方を僕が掴んだ瞬間───鎖は『黒く』変色し、僕の腕をがんじがらめにし、ルナさんを縛り上げた
「ノル…殿ぉ?」
「安心して下さいルナさん、起きたら全て
終わってますから」
◆【ルナさんが気絶した】
名前:ノル・スタルジア
年齢:16
種族:人間
レベル:130
職業:冒険者 英雄学校『Sランク』
スキル:【大賢者】【創作】【編集】【付与】
【LP変換】【魔弾C】【石弾C】【鑑定眼B】
【浄化C】【探知C】【水玉C】【霊感C】
【魔法融合】【紫電C】【治癒C】
【暗視】【陽光】【頭痛耐性】【頭髪増毛】
【体術C】【体力上昇B】【召喚術】
【盟友の誓い】【状態異常回復C】【火扇】
【投擲C】【◾️◾️剣術・未熟】
【風上】【風足】【風斬】
状態:『生命同調』
◆【状態詳細】
『生命同調』
〈対象Aと対象Bを同一の存在として共有すること
スキルの共有、生命力の共有等。
種族、年齢、レベルなどは共有されない〉
◆【成功】
「良さそうですね」
「ノルは大丈夫なの?」
「大丈夫って訳じゃない、けど」
ルナさんのLPがどれだけあるかは分からないものの───確実に言えることはレベルや『生命力』の可変の激しい僕の方がよっぽどのことがない限り『〜死印』に対して【解呪】を使うのに適していると言えるだろう
「ルナさんにはお世話になったので
これくらいは大丈夫ですよ」
「意味が複雑だなぁ」
別に散々逃げられた腹いせというだけでは決してない




