『お宝探し』〈7層での経過〉
◆◇◆◇◆
斬り倒した木を細かくし、丁寧に焼いていく───『ドリアードさん』の助言で森の再生方法のひとつに木を中まで黒くし、砕いて土に混ぜることで木を倒しておくだけよりも格段に自然に還りやすいのだと
◆【銀狼が咥えてきた『風の選別』】
「…」
切れ味が凄い───それとも木の方が柔らかいのだろうか。剣が素振りの様に抵抗なく大樹を切り分けてくれる
切り分けたモノを【火扇】で燃やし『延焼』を防ぐために【水玉】で辺りを湿らせ見守り、眺める
最初は燃えないものの程なくすればゆらゆらと燃え盛る炎となった───とても落ち着く
「綺麗だな…ん?」
そんな炎を眺めていると『銀狼』の1匹が隣に座り見上げてきた。頭を仕切に擦り付けてくる───こうして甘えてくる姿は大型の狩猟犬のような愛らしさを彷彿とさせる
「もう、森に帰っても…」
何かを咥えて持ってきていた───僕が顎や首を撫でるとそれを差し出してきた。それは緑色をしたガラス玉の様なものだった
「くれるの?」
「ワウ!」
「〜っこのこの!」
『銀狼』が満足するまで撫で倒した【6648】
◆【水集め】
燃えている様子を見るに水分を多く含んでいる燃え方をしていた───となると、そこら中の葉っぱの上や裏に雫がつくかも知れないな【水玉】があるとはいえ、魔力を温存しておきたいので『虎丸さん』と『ドリアードさん』の分をそこら中から掻き集めるとしよう
そのためには先ず『水嚢』を作らないといけない───持ってきていた気がしたものの見つからないのであれば作るまで、材料はそこら中に広がっている訳なので『ゴールデンホーネット』の内臓で『水嚢』をこさえる
なんか悪趣味な見た目の水嚢ができたな───何で内臓まで金色をしているんだろう?防腐処理の必要あるんだろうか。まぁしておくことに越したことはないだろうけど
◆【後処理の方が時間食われる件について】
「…」
抱き上げる大きさの水嚢を3袋こさえてを麻袋に保存した───7層の様な広大な空間2層分の量が手に入った
「ノルちゃん」
「はい、ノルです…よ?」
ドリアードさんの声に振り返ると『黒い獅子』が頭を下げている姿が目に入った───辺りを見回すも虎丸さんしか目に入らなかった
「えっとぉ、ドリアードさん?」
「はい、ドリアードのドリちゃんですよ」
「…」
ドリアードさんを呼べば、虎丸さんの姿が『ドリアードさんの声』を使っていた───もしかしなくとも『黒獅子ドリアードさん』?
「えっと、ドリアードさん?」
『ノル』
「おわっ!?」
虎丸さんの声に改めて振り返れば、そこには『虎丸さん』と『ドリアードさん』が居た───『ドリアードさん』と『虎丸さん』と『黒獅子さん』がいる状況だ
「…ん〜そういうことですよね?」
この場で最も強い存在といえば『虎丸さん』だ。疑うべくもないので『黒獅子』となったのだろうが、ドリアードさんが2名居るという状況が不思議だが───親木のレベルが320と少しな所から大きく減っていたことを考えると『あれ』だろう
「親木が改めて『株分』しましたか…」
「そうなの、です」
『では、そのドリアードは
最も若い個体ということか』
「そうなのです」
『接触』の役目を担った『ドリアードさん』───となれば森を廻すために生まれたのが『黒獅子ドリアードさん』だな
◆【夜に後処理は完了した】
「ありがとうございました皆様」
「わたしは、どうすれば…」
「生命同調はお二人ではできないんですか?」
「早い者勝ちです!」
「先にその土地と生命同調をした、ものが
守護者となりますがレベルが高い方が
同調の権限が移り、ます」
なんか、レベルが高い方が若干説明が粗雑に感じられるのは気のせいだろうか───しかし、見ている感じ土地との同調によってレベルは常に上がっていくため、意図して代変えを行わなければ先ず同調が切られることはないだろう
先代を助けたドリアードさんは、間違いなく弾かれることだろう
「では、こちらのドリアードさんは?」
「わたしも予想外なんです
でも役目を終えたので土に還るかと
レベルも低く、成長不全なので」
「なの、です」
そっか、なら別にこの森から出ても問題ないな
「では人型のドリアードさんは
僕と一緒に地上へ出ても問題ありませんか?」
「構いませんが、大してお役には立てないかと…」
「いえ、ひとつ頼みたいことがありますので」
視線を移して小さな方のドリアードさんを見るとなんとも不思議そうな表情で僕を見てきた
「よろしいですか?ドリアードさん」
「は、はい。です」
◆【帰還】
当初予定していたレベル上げによる『LP』の獲得が早々に終わってしまったのでドリアードさんの仕事場兼、安全確保のために帰還することにした
虎丸さんの背に、ドリアードさんを挟む形で座る───落ちる心配もなければ、もし攻撃が来ても庇うことができる
「8層の下見をして、地上へ戻りましょう
虎丸さん、よろしくお願いします」
『うむ、では───』
「虎丸さん、お二人を地上に送られましたら
是非こちらへ、お話があります〜」
『ふん、姿形を似せたとて我を拐かせるとでも』
ん〜虎丸さん淡白な反応。硬派だなぁ
「そんなぁ…」
◆【そんなこんなで下り階段へ】
乱立した木々を抜ければ、階段があった。大樹からそれ程の位置にはなく、植物の根が絡み合って見えづらいことはあるものの───見つけられないというほどの隠れ方もしていなかった
『面妖だ。この様な近場にあろうとは…』
「となると【ゲートキーパー】を倒すまで
階段は存在すらしていない、ということですか」
『恐らくは』
「皆様───」
階段の前に着くと、黒獅子ドリアードさんが頭を下げた
「今一度礼を…その、頑張ってくださいね」
「はい」
『…ふん』
「ドリちゃんも頑張って」
◆【8層の下見】
到着したそこは7層の自然とは対照的に金属一色の通路をしていた───床、天井、壁と広がる世界は全てが無機質な空間だった
真っ直ぐと続く『3層』に似た通路だ───3層と比べて幅は狭く、5層の様な巨大生物が跋扈している雰囲気は感じられなかった
最も特徴的なのは定期的に聞こえる金属同士がぶつかり合う重たい音───通路の奥から腹に響く音が聞こえてきた
「探知に生物は引っ掛かりませんね」
『ふむ、罠であるならやはり一度地上に戻るか』
「そうですね」
◆【2層へ帰還、生存報告も兼ねて】




