『ローラ・メトローゼ』〈受付嬢〉
◆◇◆◇◆
【10】緊張と焦りからの解放
◆【登録作業】
「改めて合格おめでとうございます
本日窓口を担当致しますローラと申します」
ローラさんは一礼の後、説明に入った
「冒険者はその功績に応じてランク分けをされ
E、D、C、B、A、Sと
段階的に上がっていきます
降格要項は3ヶ月内の依頼の未達成
連続失敗による信用損失が該当しますので
ご注意を」
羊皮紙とペンを渡された
「こちらに登録情報の記載を
登録に際して取得する個人情報は
職員だけで共有され、他の冒険者の方には
絶対漏洩しません。ご安心ください」
◆【書き込みを終える】
「…ローラさん」
「少々お待ちください」
その間にローラさんがふと気になり、眺める。淡々と仕事をこなす様は受付嬢の鏡と言った風貌だ。愛嬌があるなどではなく美しく凛として然といった感じだ
「拝見します…」
これで登録は終わりかな
「ノルさん」
「はい」
「ノルさんも冗談をおっしゃられる方なんですね」
「?」
◆【例のスキル】
「ノルさん
一応紙も無限にあるわけじゃありませんし
ふざけるのはやめて欲しいです」
「いや、ふざけるとはなんのことですか」
差し出された羊皮紙は先ほど僕が書いたものだった。何か変なことを書いたつもりはないのだが
「たまに、います。自分の能力を誇張…というか
装飾してしまう人はパーティ募集する際に
能力開示すると有利に働くことがあるので」
「はぁ…」
ローラさんはそこまで話すと眉間に皺を寄せ僕を睨みつけてきた
「疑ってますか?」
「当たり前です。これはやり過ぎですよね?
創作、編集、付与、LP変換って」
「記載内容に誇張はありませんよ?」
「あのですね」
ローラさんは、ギルドカウンター内の高い位置に掲げられた『紋様』を指さした
「ここはオーディンですよ。これらのスキルが
かのオリヴィア・サーヴァントが神託で受けた
スキルってことは周知の事実です」
「田舎娘だったあの人が
最初戸惑った話面白いですよね」
「ふざけないでください!」
◆【本人談なのに】
というよりこの感じ、本当に嘘と思われてるな
「途中までは信じていてたのに…」
「じゃあ、教会で鑑定の証拠を…」
これ以上言っても平行線だから『ダル爺』に鑑定を頼んでそれの『写し』を貰おうかとギルドの出入り口を指さした
しかし、ローラさんはカウンターの下から本を取り出して見せた
◆【司書の時に散々見た本だ】
「鑑定書ですね」
「ご存知、なんですね」
「えぇ、まぁ」
「なら話が早いですね
どうです、発言の撤回をする気になりました?」
そう言われても本当にあるのだから撤回のしようがないのだが、こういう場合、どうすれば良いのが僕には分からない
「いいでしょう。このページに触れてください」
「やめましょう。回数制限のある魔道具となれば
1頁が高いでしょう…」
「えぇですが、これでも受付嬢になって
683日ですよ。見抜く目はあります
…そうですね、スカートをたくしあげながら
『申し訳ありませんでした、ノル様』とでも
謝罪しましょうか」
◆【何言ってんのこの人】
えっと
「要するに、ローラさんは僕に魔道具を使わせて
その結果によっては謝罪をすると?」
「どうです?」
「…なんの取引にもなってない」
「…え?」
「そもそも嘘の記載をしたところで
不利益を被るのは僕です、よね?」
「…」
「仮に使っても使用代やら諸々引かれて
ローラさんに何の得もないじゃないですか」
「うぅ、うるさいですね!
受付嬢の矜持にかけてですね」
「やめましょうよ。お金が勿体無い」
「いいから早く…!」
埒が開かないので『鑑定書』の紙面に触れる
白みの強い『頁』の上に発光と共に青文字が浮かび上がっていくと『頁』に吸い込まれていき光沢を帯びた黒文字として『頁』に刻み込まれていった
【魔弾】による『魔力』の『自覚』でこの『鑑定書の原理』が魔力由来のものであることが分かる。だからなんだと言う話しだが。つくづく万物が有する力というのは不思議ということだ
◆【鑑定結果】
名前:ノル・スタルジア
年齢:16
種族:人間
レベル:20
職業:無職
スキル:【大賢者】【創作】【編集】【付与】
【LP変換】【魔弾】【石弾】
◆【嘘書いてしまっていた】
「あ!え?」
「え?」
レベル上がり過ぎじゃない?それに【大賢者】のことすっかり忘れてた。名前を呼んだらいけないスキル判定してた
「すみません、レベルとか諸々
間違ったこと書いてましたね」
「だ、だ、大賢者にそそそ創作!?
ふぉふぉふぉふぉふぉんとうに
オリヴィアのししししししそん…」
「え、あ、いや、違うんで新しい紙を」
ローラさんが何か言いたげに哀願する眼差しを向けてきたので落ち着いて貰い、無事に登録の運びとなった
まぁ売り言葉に買い言葉でこうなったわけだ
「…」
◆【気を取り直して】
「依頼のほうですが、如何します?」
先までの凛とした佇まいに戻っていた。切り替え早
◆【大賢者】より
鑑定書について
『鑑定書』───その名の通り、鑑定という【スキル】を『本』という媒体で代替することを目的に作成された『魔道具』のこと
『魔道具』───【スキル】や『魔法』を道具という形で再現、行使することを可能にした物
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