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『ガモン・チョコチフ』〈冒険者〉

◆◇◆◇◆


 翌日、僕は大手ギルド『オーディン』に来ていた


◆【それと言うのも】


 早朝のこと、オリヴィアさんとの約束通り『無限の迷宮』の再び訪問した時のこと


「…」


『なんだか元気ないじゃん?』


「何か手っ取り早く稼げる方法知りませんか?」


『なんだぁノル君、若いのにもう

 世のしがらみに囚われちゃってたか』


「このところ入用で」


『ノル君、ギルドに所属すればいいじゃん?

 身体を動かせて、お金も稼げる』


「…はぁ」


『笑うとこだぞぉ?ここ』


「…笑いどころが難しいというか」


◆【予定を変更して】


 郊外に佇む、石煉瓦造の砦


 居抜きで利用しているのか、派手さはないものの、堅牢そのものと言った様子をしているそれが『大手ギルド』オーディンのギルド会館だ


 近づけばその無骨でいて砦然とした佇まいに感心すること間違いなしの外観をしている


 背丈の1.5倍、見上げるほどの大きさの木製扉が『これ』の入り口をしており、蝶番の錆びを潤滑剤で無理やりに動かしている奇妙な音を立て思いの外、楽に開いた


◆【受付カウンターへ】


 見た目だけなら宿や郵便局を合わせた丁寧なもてなしの空間。どこに行けば迷うより先に入って直ぐ目につく位置の女性が頭を下げてくれたので『受付』であることが分かった


「私は受付嬢のローラと申します

 本日はどういったご用件でしょうか」


「すみません、ギルドに登録したいのですが」


「登録ですね。登録には試験があります

 御了承の上、こちらへお願いします」


 ローラさんについていく形でギルドの奥へと通された


「いきなり試験なんですね」


「ご不満が?」


「いえ、そういうわけではないのですが」


「疑問に思うかも知れませんが

 長いやり取りをしても我々が求める

 資質を有しているかは分からぬものです

 これが───」


◆【裏庭へと通された】


 暗い一本道を進んでいくと壁に囲われた屋外訓練所が出迎えた───弓矢の的、鎧を着た木の人形など、各種武器の訓練設備の置かれた空間


「───オーディンのやり方です」


「おぉ」


 ローラさんが見回し、ひとりの人影を認めると息を吸って、その人の名前をやや大きな声で呼んだ


「ガモンさん、登録希望者です」


「あいよ」


 ぶっきらぼうに答えた男が構えていたリーチの長い棍の柄を器用に回して、振り返ると同時に地面を2、3度叩いて見せた───一連の動作から長物使いの兵士や騎士を思わせる立ち振る舞いだ


 ガモンさんはうねりのある髪を豪快に掻き上げ僕を見た


「キミ、貴族の子かい?」


「ノル・スタルジア、準男爵の家系です」


「丁寧にサンクス。でもウチは身分とか関係ない

 求められるのは問題解決力だ。それがなけりゃ」


 棍の先が僕に向けられた


「お帰り願う」


 怖。視線だけで人を殺せるんじゃないかこの人


「ぐ、具体的には」


「3分だ。3分以内にオレに声を出させること」


「えっと…叩いてもいいということですか?」


「…あぁ、声ならなんでもいい

 悲鳴でも、奇声でも、笑い声でも」


◆【屋外訓練場にて】


「準備ができたら教えてくれ」


 おっかねぇ『3分』で長物使いに声を出させるってなんだよ。ここにあるものならなんでも使っていいと言われたけれども、どうすりゃいい?なんか【創作】するか?いや、それだと何が起こるか分からない、今の手札でどうすれば


「…」


 僕は木剣を持って取り敢えずガモンさんの真正面に構える


「お願いします」


「んじゃ今から始めるぞー、スタート」


◆【距離を詰める】


「…ッ」


 取り敢えずで撃ち出した【石弾】が弾かれていく


「…」


 木剣による攻撃も軽くいなされ、正攻法での勝ちの目が皆無なことを悟った。どうするべきか


 大凡20秒で正攻法が通用しないことが分かったので少しでも消耗をさせるべく【石弾】をできるだけ連射しつつ次の策を弄する


「…」


 棍が目まぐるしく周っている


◆【魔弾を放つ】


「…ッ」


 接近と同時に棍の回転軸に目を合わせて放った【魔弾】が棍を弾いた。が見事な手捌きでこれを持ち直された【棍術】がかなり洗練されている証拠だった


「…」


 剣を構えて走り出す


◆【編集】


【編集】を【棍術?】に向けて【発動】する


【棍術?】

〈棍系の扱いがより洗練される〉


【編集】【棍術?】を『削除』

『必要LP:6万』


『ガモン・チョコチフから強い抵抗を受けました』


◆【承知の上】


「…っ」


【抵抗】【魔弾】【石弾】───精神と物理的な揺さぶりを掛けて接近により棍を『剣術』で弾き飛ばせたものの声は出してもらえなかった


「ダメか…」


 次の作戦は…

 

「参った…」


「え?」


◆【棍が地面に落ちた音がした】


「勝負ありですね。合格です、ノルさん」


「どうして?」


「あんなに疲れる試験、初めてだよ」


◆【510】

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