『ゴールデンホーネット』〈金色の虫〉
◆◇◆◇◆
「わたし達は、自然と一体になり、魔力を廻す者
大地に張った根を介して栄養を受け
その身に地脈を通すことで此れを廻しています」
聞けば聞くほどに『ドリアード』という存在の特異性が判明した。聞くに【生命同調】により『自然』と一体となり、地に根を下ろすことで行く行くは『自然そのもの』へとなるのだという
「ですが、そこに目をつけた魔物がわたしを
凌辱するのです…」
「…」
根絶やしにするか…。1種類消えたところで影響はないだろう
『ノル、暫し冷静になれ
ドリアード、貴様も言葉を選べ
我が友を弄ぶでない!』
「虎丸ちゃん」
『ちゃん?』
「これは決してふざけているわけではありません」
だいぶ歩き続けたその時。虫の羽音が耳について離れない大合唱を始めた───重々しい低く唸る様な羽音と『黒と黄色』の照り返して来る縞模様のそれが群れを成していた
◆【ゴールデンホーネット】
「見えますかノルちゃん、虎丸ちゃん
あそこです」
空を覆う多種多様な『虫』の群れ───それが一様に向かう先は地面に根を打ち、空に向けて聳え立つ一頭立派な大樹だった
「…」
『…』
遠目でも分かる。青々とした葉っぱに混じり枯れた葉が確認できた。よく見れば枝も所々が食い千切られ、絶えずその傷から液を流していた
異常だ。問題は明白だった。大樹もさることながら、それ以上に辺りを見れば大樹以外の木々は悉く貪り、食い散らかされているのである───凌辱という表現は間違えでも誇張でもなかった
『これは酷いな』
「わたしの魔力を貪るものが現れ、増長し
瞬く間に生態系を蹂躙したのです」
◆【ゴールデンホーネット】
レベルは200前後の大群が空を覆い尽くしていた【魔力吸収】によって群体全体のレベルがあり得ないほど高かった
【痺毒B】により、近づく『動物』さえも餌として、貪り食っていた───銀狼の爪や噛みつき、体当たりさえ【斬撃耐性C】【打撃耐性C】【巨大化】などで押さえ込まれ、木々の残骸に混じって無惨な骨が確認できた
勝てる気がしない。数の暴力以上の脅威───レベルも高い上に『集団』で動くことを目的とした『群体飛行』が見られた。例え1匹仕留められたとして、残る数多の群体に【痺毒】を打ち込まれ死ぬことになるだろう
彼我の戦力差は明らかで『不利』だった
『この数と地の不利は如何ともし難いな』
「ノルちゃん…どうですか?」
「良い知らせと悪い知らせがありますが
どっちから聞きたいですか?」
◆【突破口】
「良い知らせ、からで」
「良い知らせはアレらは何かの命令によって
群体を成しているので───」
幸いなことに『統率』を虫の軍勢は受けていた。これは【統率】を持っている個体『これ』を突き崩すことで群れの崩壊を起こし、共喰いなどを誘発させ、一網打尽にできるだろう
「───統率をしている個体を倒せば
どうにかできる可能性があります」
「そうなんですね!」
『して、悪い方は?』
「あの数の中から【統率】を持っている個体を
探し出して、倒さなければなりません」
「…うぅ」
『無謀に近いな』
「そうなんですよね」
しかも、ひとつ致命的な問題が判明した。これが個人的に最も大きな問題であり、この空間の『悪趣味』さが極まったものだった
◆【鑑定眼】
名前:ドリアードの大樹
レベル:322↓↓
スキル:【生命同調・森林】【ゲートキーパー】
状態:『疲弊』
ドリアードの大樹、それが【ゲートキーパー】だったのだ




