『7層の問題』〈決死の救助要請〉
◆◇◆◇◆
7層を散策する中で『ドリアード』なる存在に出会した。見かけは普通の『人間の少女』ながら人ならざる存在だった───突如現れたそんな少女は『敵意のない存在』であることを訴えてきたのだが
◆【違和感を感じて】
【水玉】や【陽光】を与え、目覚めるまで待つこと数分、意識を取り戻した
「その強さを見込んで頼みたいことがあります」
縁起を疑いたくなる程の回復───先程までの不調が嘘の様になくなり、元気いっぱいと言った様子で話を始めた。ドリアードというのは総じてこの様な回復力を持っているのだろうか?
◆【話を聞く】
「わたしはドリアードと言ってこの森に根を張る
ドリアードです」
「ドリアードの若木とお見受けしますが」
「はい、これは分体なのです
親木のドリアードは今、死に瀕しているので
貴方方に会うにはこの姿でしか無理でした」
表情に動きがない、交渉慣れしている様子もない───しかし、立ち振る舞いからして歳を重ねているのは明白だった
「お願いします。このままでは
この森全体も失われてしまいます」
「…」
突然現れて、そう言われたとしても突拍子もないことこの上ない状況であるものの、心当たりがないわけではない───昆虫種の巨大化や攻撃的な変化がそれに該当するのではないかと思い至った
「お願いします。この通りです。何でもします」
「…」
『それは何のつもりだ…』
地面にうつ伏せになり、両手両足を広げた姿勢で頼み事とはどういうことだろうか
「完全降伏です。手に武器はなく
仕込みもありません。この姿から反撃は愚か
逃げも隠れもできませんので」
極端だな〜。しかも淡々と説明されているから危うく納得しかけた───植物由来の『存在』は人間と違うとは聞くがこういう意味だったのか
◆【持ち上げ、土を払う】
『手慣れておるな』
「まぁ、色々ありますので」
さて、ここまでされている以上、問題点は多々あれど、見過ごすのは気分が悪い。それに親木の危機というのが気掛かりだ───もしかすれば【ゲートキーパー】絡みの可能性であるかも知れない
「本題に入りましょう。何が原因ですか?」
「親木が何者かに吸われています」
「吸われている?」
「はい、肌に纏わりつかれ、全身を噛まれ
絶えず啜り続けられています」
自分を抱きしめる様にして身を震わせるドリアードさん───全身を噛み、絶えず啜り続けられている。間違いなく昆虫種の仕業だろう
「分かりました。案内をお願いします」
ドリアードさんの表情が明るくなった
「ありがとうございます」
◆【両手を広げて駆け寄って来る】
『分をわきまえよ』
ワンピースの首後ろを咥えられ、しようとしていた何かを阻止されたドリアードさんが『キョトン顔』を晒し、虎丸さんを見た
虎丸さんの睨みつける眼光の鋭さと言ったら、獲物を草葉の陰からひと息に仕留めんとする───黒目が大きく見開かれた『ゾクっ』とするものがあった
「あ…すみません」
『案内せよ。妙な真似をすればこのまま一口で
噛み潰してくれる』
何というか虎丸さんも極端だな
◆【姿形から】
「その姿は親木さんから?」
虎丸さんに咥えられて道案内をするドリアードさんの姿にふと、違和感を覚えて質問をした
「今どの様な姿をしているのかは分かりませんが
ドリアードは番の性を受けて強くなるので
その対象となる姿を映すことになります」
「…うわぁ」
マジか、僕の趣味ってそんな幼い見た目が対象だとでもいうのか?割と悲しくなってくるんだけど
『我にはただの童に見えるが?』
「…分体といっても、わたしは貴方方に
接触するためだけに作られた存在なので
不完全なんです」
「…(ホッ)」
『種族特性』から来る『写身』というわけか───僕の知らない癖でもあるのかと内心驚いたが、なるほど『不完全』故にそうなったのか。良かった
◆【思い出した記憶は苦いモノ】
しかし、まぁ───ブライトネスさんによく似ている。少し健康的で明るく大人な立ち居振る舞いを除けば、あの頃の
「…」
「どうしましたか?」
『ノル?』
あぁ、そうか。そうだった思い出した。思い出せてしまった。ブライトネスさん───いや『エマさん』は僕が守らないと駄目なのに、今の今まで忘れてたなんて
時計塔の上でそう誓ったのに───【大賢者】つくづく僕の知りたいことをひた隠し、邪魔ばかりをしくさりおって
「…先を急ぎましょう」
「はい」
『…』
◆【釘刺し】
「ドリアードさん、その姿でいる以上
さっきの『完全降伏』は絶対に
しない様にお願いします」
「分かりました」




