『ドリアード』〈森の意思の具現化存在〉
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小休憩を挟み、虎丸さんの背にもたれ掛かる様にして空を眺める───周りに危険があるとは思えない穏やかな環境でのこれ程までの短時間かつ充足している休憩というのは不思議なものだった
◆【罠】
「…」
視界に入ったそれはパッと見、ただの大きな木ながら───伸びた枝、うねる根の奇妙な姿はあからさまに『魔物』だった。襲ってくる様子はないものの、視線を動かせば、根に引っ掛かっている動物の骨が見えた。察するにその手の生態を持つ魔物だろうか
しかし、レベル20に【堆肥作成】【擬態術】とは、地味に恐ろしい存在であることは明らかだったがどうにも襲ってくる気配がないため休憩を優先にした
◆【探知と鑑定眼】
休憩を終え、改めて確認する
7層の敵は多種多様だな。単体昆虫種、群体動物種、そして、擬態植物種と大きく分けるだけでも3種類は存在することが分かった
【鑑定眼】でさえ『灌木』と認識していた
【探知】を併用しなければ、これを見つけられないことが分かった。幸い確認した個体以外には魔物───『キラーツリー』なる存在は居なかった
レベルも低ければ襲ってこないため、攻撃する気も起きなかった
『ノル?どうした』
「擬態系の魔物が居たので少し調べていました」
『それは森の口か、迷宮の森といえど
無からは生まれぬか』
森の口とは、中々面白い名前だ。確かに【堆肥作成】という点において植物の食事には違いない───【823】。またひとつ賢くなれた気がする
「そうなの、です」
「「っ!」」
◆【咄嗟に回避】
地面を蹴り飛ばし、高く跳び上がり、木を足場に背後を取られた位置から退避する。虎丸さんの『索敵』をすり抜け、僕の【霊感】をすり抜けてきた何か───女性。それも幼い声色をした存在が僕の背後を音もなしに取ってきた
『言葉を介する魔物』はそれだけ知能が高く、それでいて狡猾───擬態系の中でも特に厄介な種類も例に漏れず同じ手段を用いる
迷宮に迷い込んだ人とは考えないことはなかったが、7層までのそれらを掻い潜って来たとでもいうのだろうか
◆【森林の株分】
『奇襲』───そう予想し、剣を咄嗟に構えた
「私に敵意はありません。どうか」
『かような戯言に耳を貸すとでも』
「信じて下さい」
「…、え?」
問答無用、そう思い、踏み込んだその瞬間。眼前の光景に『頭痛耐性』が働いたのが分かった
◆【倒れ込みそうになる"何か"】
咄嗟に剣の構えを片手に変え、空いた片腕で『それ』を抱き抱える。助ける気なんてなかったはずだった───しかし、その姿があまりに卑怯を極めていたばかりに咄嗟の判断を誤った
仕方がなかった。幼い見た目に金髪と碧眼、装いは白いワンピース───その姿から、既視感と懐かしさを受けた。欠けた記憶の断片の所々に存在する身姿だった
◆【鑑定眼】
名前:ドリアード
レベル:55
スキル:【生命同調・非活性】
【ドリアードの若木】
状態:『成長不足』
◆【スキル詳細】
【生命同調・非活性】
〈対象Aと対象Bを同一の存在として共有すること
対象が存在していない状態〉
【ドリアードの若木】
〈親木の株分から生まれた者〉
◆【ブライトネスを彷彿とさせる姿】
分かっている。これは『擬態』と分かっている───それだというのに剣を構えることは愚か、魔法さえ使うことを躊躇ってしまっていた
震える手と焦る視線、葛藤の末に剣を納めた
『ノル、どうした』
「虎丸さん、話だけでも聞いてみませんか?」
『知人に似ておる、か
そのものに敵意がない故、見逃すとしよう』
「ありがとうございます」




