68、ホエザル③
「再犯率が高いのは当然で、システム上の欠陥といえる。具体的には、罰が甘すぎることに原因があるのです。
バレなければ丸儲けだし、バレてもそのくらいのリスクは当然と、犯罪が割に合うと思われているからです。そして犯罪捜査の費用とか。検察、裁判の費用などは、全部犯罪とは縁のない善良な市民の税金で賄われます。しかも、犯罪者にはある程度ではあるが人権も保障され、そしてタダで衣食住を提供され、弁護士も付けてくれる。
良く考えてみて下さい。極論すれば、犯罪者が居なければ警察、検察、裁判所など必要のない制度なのです。余計な設備や経費など、犯罪が無ければ必要の無い出費なのです。
それなのに旧世界では、膨大な経費を税金で負担し、犯罪者に手厚い保護を加え、結局は再犯を促している。
そのくせ、警察や検察、裁判所の一般市民への対応は横柄、高圧的、不親切、威嚇的、権高、不適切と、とても一般市民のための組織とは思えません。
警官は警察のためにあるし、検察官、裁判官も検察、裁判所のためにある。
そして犯罪者は、それ等機関への仕事の提供者、うがった見方をすれば、お得意さんなんです。
警察、検察、裁判所は、そういう機能のみを満たしている機関としかかんがえられません。そして彼らは、彼らの為のみの独自の堅牢な社会を形成している。何の為の組織か、誰が税金を払っているのかは、長い間の特殊な権力を持ち続けたことにより、忘れ去られてしまっている。
警察が、検察が、裁判所があることにより、世の中の平和があり秩序が保たれているのだから、市民が税金でそれ等を補うのは当然の義務との驕りが生まれた。
それらの組織だけではありませんが、驕りが生じ腐敗堕落が生じたといえます。
民主主義の制度とは、犯罪者に対し余りにも寛容であり過ぎます。犯罪者天国といっても、いい過ぎではない気がします」
ホエザルも、旧世界の強烈な批判者だった。
「いや、確かにそういうことはあるが……。しかし、警察とか検察とかは社会の秩序維持、教導としての意味もあるので、損得のみの見方だとかッビジネスみないな考え方をするのはどうかな……」
「ご先祖様、物事をヘンに複雑に見るのはオカしいですよ。余計な意味づけなど無い方が、物事は単純な方が事理、明快で皆んなが納得しますよ。物事を発展と称して複雑化するのは、旧人の悪いクセです。
例えば、十人の殺人者が居れば十通りの殺人罪が必要でしょう。百人なら百通り、それらが判例となって残れば増々膨大複雑な殺人罪が出来上がる。切りがありません。法律で全部を網羅しようなどとは、無謀というものです。
社会システムなど、シンプルな方が分かり易くて良いのです。
……ところで、四百円ですが」
「俺、金なんて無いよ」
ご先祖様は、すでに開き直っていた。自分の考えが古典的と言われ、いささか腹が立っていた。
「それです。木師かオランウータンに相談してください。木師は、ここでのご先祖様の親がわりですから」
「うん、そうしよう」
ホエザルは、請求書をご先祖様に渡して帰って行った。




