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人の行方  作者: 森三治郎
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43、山羊先生の断罪⑥


「しかし、それが何故二十世紀の人間の責任なのだろう」


山羊先生は、しばし視線を宙に彷徨(さまよ)わせていた。


「……ご先祖様。ご先祖様は、戦争の原因をどう考えていますか」


「……?、ヒトラーや軍人が起こしたもの」


「では、戦争とは?」


「それは、悲惨で残酷で不条理で……絶対起こしてはいけないもの」


「おお、それが二十世紀人の一般的認識でした。しかし、なぜ戦争、民族紛争など、それらが絶えることなく続いていたのですか」


ご先祖様は、しばし考えた。


「社会不安や宗教対立、民族対立などで、お互いが憎しみ合い、血を流し合い争う。

そしてさらに憎しみが募り争い合う。悪い奴らが、煽動するのかな……」


「いや、それは少し違います。真の戦争の原因とは、、血を流すことでは無く奪い合うことなのです。戦争は、理念の違いや憎しみ復讐などから起こる争いだはないのです。そんなもの、後付けの理由です。私闘と呼ぶべきものです。

戦争とは生きることの危機から、端的にいうなら食うことの危機から発生する経済の現象なのです。大まかないい方をするなら、血を流し合う戦争の悲惨さ残酷さは副次的なもので、戦争の真の姿とは危機的な経済から発生する奪い合いなのです。経済の破綻からの奪い合いこそ、真の戦争の原因であり実相なのです。

もし、第一次世界大戦後のドイツ経済が豊かで安定したものだったら、ヒトラーはただのイカレタ芸術家で生涯を終えたでしょう。ヒトラーをつくり育てたのは、ドイツ経済の破綻なのです。経済の破綻がヒトラーという悪魔を育て、戦争を作り出したのです。


二十世紀後期の日本は、ヒドイ状態でした。

政治屋は汚職にまみれ、選挙と金のことしか考えない。官僚は日本経済が破綻しかかっているのに、自分の部署のみの増大しか考えない。

大企業、銀行などの不祥事が次々と発生し、破綻、倒産が相次ぎました。取り締まるべき警察さえ、腐敗、堕落、汚職にまみれていた。日本は空前の老人大国になり、社会的負担がますます重くなってきました。

理念もビジョンも無い成り行き任せの行政、無責任な政治屋、当てにならない警察、気の遠くなるほどの時間と膨大な金のかかる裁判、しかも判決はいつも不公平、冷酷な企業、会社、警戒すべき隣人、刹那(せつな)的な衝動による犯罪、行方不明のモラル、バカ騒ぎに走る若者、膨大なゴミの山、浪費を煽るマスコミ、保身に走る経営者、ますます凶悪となる犯罪、膨大な財政赤字、ますます重くのしかかる税負担など……。

こんなヒドイ状態でも、何も起こらなかった。戦争はおろか、騒乱も革命騒ぎも起こらない。……これは、ひとえに食えたからです。

一応、安定した生活があったからです。

失うものが、有り過ぎたからです。人は、失うものが無い状態にならないと立ち上がらないものなのです。あの当時の日本人は、失うものが有り過ぎました。

そして、戦争反対が叫ばれていました。そういう人たちは、一応に戦争は一握りの悪人どもが引き起こすものだと思っていたフシがある。

おお、何というノーテンキな奴らだ。

そういう(やから)が、無責任に積み上げた借財が、戦争の真の原因なのです。

社会的困窮(こんきゅう)こそが、真の戦争の原因となるのです。食うに困らなければ、誰も争ったりしません。困窮こそが悪魔のような指導者を育てる土壌となるんです。

戦争とは経済行為です。戦争こそ起こさなかったものの、営々と戦争の原因を膨大に積み上げていったのが二十世紀後半の日本人です。

彼らは、二十世紀前半の人類の血と汗と涙で贖い、ようやくかち得た平和という遺産を、湯水のごとく浪費し、それでも足りなくて未来人のツケにしてまで浪費を続けていた。

戦争の原因を、積み上げ続けていたんです。

おお、何という冒涜(ぼうとく)、何という恥知らずな人たちか……」


「……」


ご先祖様は、今はまったく言葉を失った。うつむいてしまった。


あなたは、千年後、万年後の人類を想像できますか。

私は、出来なかった。


環境破壊、食糧危機、資源の枯渇などなど、そして絶え間ない戦争。こんな凶悪な人類の未来など誰が信じられようか。

「人類を、断罪すべきだ」そう思い、この物語を書き始めました。(これが、物書きの始まりです)

書いているうち、人間の業とはずいぶんと深いと感じました。


みなさん、知ってますか。

人類は、ホモサピエンス一種であることを。

犬、猫、牛、馬ほとんどの種はいろんな種があります。犬などオオカミ、ハイエナ、リカオン、飼い犬など雑多な種があります。

しかし、人間はホモサピエンス一種です。北京原人、ジャワ原人、クロマニオンなどはすべて絶えてます。

なぜ、でしょう。たぶん、ホモサピエンスと他種が出会い次第、殺して喰ってしまったと考えるのが妥当と思います。凶悪ですね。


環境問題を考えるなら、まず、人口を抑制しないと。

人口爆発を放っといて、いくら対策をしても追い付かないと思いますよ。

西洋のことわざに「善意のかわらは地獄へと続いている」とあります。

人間のすること、政治、宗教、経済などすべてにおいて当てはまることと思います。


私は、人類がハルマゲドンに向かって、突き進んでいるとしか思えません。


拙いものを書いてます。

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