第九話/三月二十一日/七瀬②
“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”
佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。
圧倒的な祈りの力、法力を伴って……
千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。
弘法大師『空海』・・・真魚
吉備の鬼神『温羅』・・・みさき
『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶
空海を追う『摩』法少女・・・七瀬
四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。
小旅行気分でお読みください。
弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。
また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。
寝間着のままである事など、全く気にも留めていなかった。
細く長く息を吐き出すと、着替え始める。
車には高校の制服が常備してあった。
殆ど通ってはいない学校だが、制服のデザインは気に入っている。
動きやすいし、生地もいい。
着替え終わる頃、黒塗りは瀬戸大橋に差しかかった。
橋の光を反射した水面が不気味に揺らめいている。
善通寺の方角を望むと、法力が渦巻いていた。
その強すぎる波動に視界が歪み、闇で覆われた海峡に吸い込まれそうな錯覚を覚える。
対象が動いてはいないことに半分は焦り、半分は安堵した。
このまま捉えられなくなることが、一番恐ろしい。
畏怖なのか、それとも興奮なのか、身体がカタカタと震えていた。
「お嬢様……大丈夫ですか?」
震えに気づいた近江がおずおずと声をかけてくる。
「あぁ。問題ない」
「何が起こっているのでしょう。まさか『大災禍』……」
「……」
「――申し訳ありません! 無神経でした!」
「いや、いいんだ……。あれから十余年……」
刀を握る手に力が籠る。鞘から引き抜き、その刀身に一切の曇りが無いことを確かめた。
「繰り返しはしない!」
自らを戒めるように叫ぶと、頭の中が晴れ渡る。
いつの間にか震えは止まっていた。
お読みいただきありがとうございます。
皆様の応援が、執筆の糧です。
もう少し下へスクロールしていただき、
広告バナー下の「☆☆☆☆☆」を押して評価をお願いします。
感想はもちろん、
舞台となる岡山・香川の旧跡・名所のリクエストもお待ちしております。




