第十話/三月二十一日/真魚③
“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”
佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。
圧倒的な祈りの力、法力を伴って……
千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。
弘法大師『空海』・・・真魚
吉備の鬼神『温羅』・・・みさき
『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶
空海を追う『摩』法少女・・・七瀬
四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――
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岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。
小旅行気分でお読みください。
弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。
また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。
翁によると、美緒は幼い頃から不思議な子供だったという。
言葉を話すようになって間もない頃から経文を唱え、五歳で密教を理解し、七歳で真言を自在に操っていたというから驚きだ。
まさに神童である。
しかし、常に周囲との距離を置いていた美緒は次第に一人で過ごす事が多くなり、部屋へ閉じ籠るようになった。
最近ではありとあらゆる本を読み漁り、もはや翁と媼の理解できない境地に達していたという。
「――っ!」
話に夢中になっていると突然、強い気配を感じた。
尋常ではない殺気。
どうやら建物の外から何者かが近づいてきているようだ。
「翁よ、この建物は何だ?」
「五重塔ですが」
「仏塔か……ここは何階だ?」
「一番上、五階です」
血の気が引いた。
「そこの引き戸以外に出入り口は?」
「ありません。空気を入れ替えるために雨戸があるくらいで」
「袋の鼠か……」
怒気をはらんだ気配が階を繰る。
「二人とも物陰に隠れておれ。何者かが害意をもって、近づいてきておる」
「そんな……」
「早ようせいっ!」
二人は祭壇の陰へ隠れた。
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