第六十五話【全六十七話】/終章①
“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”
佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。
圧倒的な祈りの力、法力を伴って……
千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。
弘法大師『空海』・・・真魚
吉備の鬼神『温羅』・・・みさき
『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶
空海を追う『摩』法少女・・・七瀬
四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――
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岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。
小旅行気分でお読みください。
弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。
また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。
昨日まで降っていた雨は止み、青空には取り残されたように幾筋かの雲が浮かんでいる。
私には問い質さねばならない事があった。
近江がいると話がこじれるかと思い、買い出しに出た隙を見計らって、素早く着替えを済ませた。
枕元に立てかけてある霊刀を一度鞘から抜き、その鈍色に曇りが無いことを確かめると鞘へ戻して布袋で覆う。
心配しないよう一筆をベッドの横の机に書き残し、病院をそっと抜け出した。
向かったのは、吉備津神社。
目的の人物は庭の手入れをしていた。
「土岐子」
「あら、刑部さん。お身体の具合はよろしいのですか?」
「ああ。近江が心配しているから入院させられているだけだ。身体が鈍って仕方がないよ」
「伽耶から聞いてはいましたが、本当に碧い眼……」
「ああ。優鉢羅の眼だ」
「……大変でしたね。あなたには何とお詫びを言っていいか……」
「それはいいんだ。自業自得だからな」
「そうですか……。今日のご用向きは? 伽耶なら出かけていますよ」
「いや、今日はお前に用事があったのだ」
「私に? なんでしょう」
「話を聞きたくてな」
霊刀を握る手に力が籠る。
私の尋常ならざる様子に、土岐子は表情を硬くした。
「では、執務室でお伺いしましょう。どうぞ」
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