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第六十五話【全六十七話】/終章①

“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”

佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。

圧倒的な祈りの力、法力を伴って……


千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。


弘法大師『空海』・・・真魚

吉備の鬼神『温羅』・・・みさき

『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶

空海を追う『摩』法少女・・・七瀬


四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。

小旅行気分でお読みください。


弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。

 また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。


 昨日まで降っていた雨は止み、青空には取り残されたように幾筋いくすじかの雲が浮かんでいる。


 私には問いたださねばならない事があった。

 近江がいると話がこじれるかと思い、買い出しに出た隙を見計らって、素早く着替えを済ませた。

 枕元に立てかけてある霊刀を一度鞘から抜き、その鈍色に曇りが無いことを確かめると鞘へ戻して布袋で覆う。

 心配しないよう一筆をベッドの横の机に書き残し、病院をそっと抜け出した。


 向かったのは、吉備津神社。

 目的の人物は庭の手入れをしていた。


「土岐子」


「あら、刑部さん。お身体の具合はよろしいのですか?」


「ああ。近江が心配しているから入院させられているだけだ。身体が鈍って仕方がないよ」


「伽耶から聞いてはいましたが、本当にあおい眼……」


「ああ。優鉢羅うはつらの眼だ」


「……大変でしたね。あなたには何とお詫びを言っていいか……」


「それはいいんだ。自業自得だからな」


「そうですか……。今日のご用向きは? 伽耶なら出かけていますよ」


「いや、今日はお前に用事があったのだ」


「私に? なんでしょう」


「話を聞きたくてな」


 霊刀を握る手に力がこもる。

 私の尋常ならざる様子に、土岐子は表情を硬くした。


「では、執務室でお伺いしましょう。どうぞ」


お読みいただきありがとうございます。

皆様の応援が、執筆の糧です。


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感想はもちろん、

舞台となる岡山・香川の旧跡・名所のリクエストもお待ちしております。

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