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第六十三話【全六十七話】/三月二十四日/七瀬②

“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”

佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。

圧倒的な祈りの力、法力を伴って……


千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。


弘法大師『空海』・・・真魚

吉備の鬼神『温羅』・・・みさき

『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶

空海を追う『摩』法少女・・・七瀬


四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。

小旅行気分でお読みください。


弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。

 また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。


「はっ!」




 目を開くと、眼前に白衣を着た初老の男が迫っている。

 反射的に裏拳を叩き込んでいた。


「うげろっ!」


 蟇蛙がまがえるのような唸りを上げて男が吹っ飛んでいく。


「お嬢様!」


 近江がありったけの勢いで抱きついてきた。


「お嬢様ぁぁぁぁあ……」


 医者か。

 近江が抱きついていなければ止めを刺しに行っている所だった。

 近江は未だにヴぉヴぉヴぉと、おおよそ若い女とは思えない慟哭どうこくを続けている。


「ありえない! 今の今まで心臓も呼吸も止まっていたんだぞ!」


 吹っ飛んだ白衣の男が、尻もちをついたまま声を震わせた。


「ここは、どこだ?」


「病院ですよ、病院! あなた、銃で撃たれたんですよ! 覚えていますか?」


 瞬間、撃たれた時の感覚がフラッシュバックする。

 冷たくなっていく身体。死の気配。

 あの凍えるような寒さが思い起こされ、自分では止められない身震いに戸惑う。

 しかし、胸に手を当てると、確かな鼓動とともに身体の芯に温かさを感じ、震えが止まった。


「そうだったな。私は助けられたのだ」


 意識すると全身が痛くなってきた。

 よく見ると、服には見事な風穴かざあなが開いている。


「お嬢様! その眼は……?」

 突然、近江が大きな声を上げた。


「眼がどうかしたか?」


 近江が慌てながらも、懐から手鏡を取り出し眼前に突きつける。


 な、な……




「なんじゃこりゃーーー!」


お読みいただきありがとうございます。

皆様の応援が、執筆の糧です。


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感想はもちろん、

舞台となる岡山・香川の旧跡・名所のリクエストもお待ちしております。

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