第五十九話【全六十七話】/三月二十四日
“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”
佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。
圧倒的な祈りの力、法力を伴って……
千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。
弘法大師『空海』・・・真魚
吉備の鬼神『温羅』・・・みさき
『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶
空海を追う『摩』法少女・・・七瀬
四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――
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岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。
小旅行気分でお読みください。
弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。
また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。
「離せぇぃっ!」
賀陽は自力で如意輪観音の束縛から脱した。
「俺にはどうしても宝剣が必要なんだ! そこをどけっ!」
賀陽が横薙ぎにした短刀を、錫杖で受け止める。
以前のような、速さも勢いもない。
一気に一歩前へ踏み出し、賀陽の襟首を掴んで捻り上げる。
三田の呪いは……呪いの原因は……
「お前が呪いの根源だ!」
「なっ⁉」
賀陽の刀から力が抜ける。
「三田はお前を幸せにしてやれなかったことを悔やんでいる。それが気力を、魂までも蝕んでいるのだ。お前はその事に気づいているはずだ。お前の身体には手垢のようにべったりと三田の自責の念が絡まっているのだから」
「それは……」
「お前そのものが呪いの根源で、三田がお前を縛り、お前が三田を呪っているのだ」
錫杖を振るい、短刀を跳ね飛ばす。
賀陽はよろめきながら、二歩三歩と後ずさった。
「お前はただの甘たれだっ!」
「うるさい……黙れっ!」
賀陽は霊符を取り出し、呪文とともに放つ。
しかし、ただの紙切れのように力なく、ひらひらと足元へ落ちていった。
「お前の霊力は如意輪観音様が持って行った。摩利支天の加護ももうあるまい」
賀陽は自らの両手の掌を見つめている。
「う、うぉぉぉぉぉ!」
拳を振り上げると、殴りかかってきた。
錫杖を大きく振りかぶって薙ぎ、
「他の不幸の上に己の幸せなどない!」
思いっきり頬を打ち据えてやった。
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