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第四十九話/三月二十三日

“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”

佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。

圧倒的な祈りの力、法力を伴って……


千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。


弘法大師『空海』・・・真魚

吉備の鬼神『温羅』・・・みさき

『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶

空海を追う『摩』法少女・・・七瀬


四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。

小旅行気分でお読みください。


弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。

 また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。


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「真魚! 真魚!」


「ああ、みさき。時間か」

 時計を見ると、十七時を少し回っている。


「帰りましょう。あと隣の人は起こすと悪いので置いて行きましょう」


 隣を見ると、七瀬が数時間前と同じ姿勢のまま机に突っ伏していた。

 持ってきた本を書棚へ戻し、そのまま図書館を後にする。

 ガラス張りの玄関を出てしばらく歩いた辺りで、七瀬が走って追いかけてきた。


「おい! こら! 待て!」


「ああ、起きたんですね」


「なにを置いて帰ろうとしてるんだ!」


「やっぱりちゃんと起きるんですね」

 みさきは素直に感心している。


「言ったろう。気配には敏感なんだ。皇典講研でも一、二を争う程にな」


「それだけ敏感だと気が休まらんだろう」


「お前が顕現した時の事は思い出したくないよ」

 七瀬はその瞬間に引き戻されたように、ぶるっと身体を震わせた。


「わざとやったわけではないぞ。だが、すまなかったな。美緒に代わってお詫びするよ」


「私はこの力を理解できるが、法力にあてられて体調を崩す者もいるんだ。信仰を忘れてしまったこの世界では、尋常でない力が人へ不幸を呼び込むことを肝に銘じておけ」


「儂のような者には生きづらい世の中だのう」


 車へ乗り込むと、鬼ノ城を指して走り出した。

 薄闇に煌めく車の灯が目をくらませる。


「ちょうど帰宅時間ですから、混んでいますね」


「お腹減ったー」

 七瀬が気の抜けた声を捻りだした。


「あなた、お昼にあれだけ食べておいて、そんなに空腹なんですか? 燃費が悪いですね」


「育ち盛りなもんで」


胃下垂いかすいの間違いでしょう」


 そうは言いながらも、みさきは飴を二個取り出すと七瀬の手に握らせた。


「飴か……」


「あからさまに残念そうに言わないで下さい。いらないなら返してもらいますよ」

 みさきが返せとばかりに手を伸ばす。

 七瀬は取られまいとそっぽを向いた。


「ありがとう……お婆ちゃん」


「誰がお婆ちゃんですか!」


「飴ちゃんを手に握らせるなんて、お婆ちゃんだろ」

 そう言って飴玉を頬張った。


 二人はキーキーと騒いでいるが、昨日のお通夜のように静まりかえった車内よりはいいか、と前向きに考えた。

 車は山道へ差しかかり、見慣れた道を登っていく。

 家へ到着すると、辺りは真っ暗になっていた。


「いやー、よく寝た」


「図書館に行ってその感想はどうなんだ……」

 確かによく寝てはいたが。


 みさきはエプロンを着けると、台所で料理を始める。

 夕食を食べると、風呂に入ってとこいた。


お読みいただきありがとうございます。

皆様の応援が、執筆の糧です。


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感想はもちろん、

舞台となる岡山・香川の旧跡・名所のリクエストもお待ちしております。

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