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第三話/三月二十一日/みさき①

“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”

佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。

圧倒的な祈りの力、法力を伴って……


千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。


弘法大師『空海』・・・真魚

吉備の鬼神『温羅』・・・みさき

『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶

空海を追う『摩』法少女・・・七瀬


四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。

小旅行気分でお読みください。


弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。

 また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。


一ヶ月前



シャーラの花が咲いている。白く、小さな花。あの日見た花。その香りが鮮烈に甦る。

針で突くような想いを伴って。


ああ、これは夢だ。あの人と初めて会った時の夢。


このまま浸っていたいような、抜け出したいような……。

ゆっくりと瞼を開くと、ポロリと大粒の涙が頬を伝う。

見上げた時計の針は四時を指していた。


「なんで……」


頬を指先で拭う。今日があの人の命日だからだというのか……懐かしい夢を見てしまった。

一緒に見た花。懐かしい香り。私に名前をくれた人。暮らしを教えてくれた人。

そして、二度と会えない人……。

夢から抜け出せない感覚に心が浮つく。そこでハッと気づき、背中に寒気にも似た震えを感じた。


夢じゃ、ない……?


窓を開け放つと、身を乗り出して空を見た。長く吐き出された息が、煙のように白くたなびく。

夜明け前の漆黒の空に、薄いヴェールの如き波紋が漂っていた。

全てをあまねく包み込む、その存在感。法力の温かさ。

あの人に間違いない。


会いたい!


考えるよりも先に駆け出していた。とにかくこの力の波動を辿るより他にはない。

寝間着を脱ぎ捨てると、黒のライダースーツに素早く着替える。

ヘルメットを掴むと、縋りつくようにバイクへまたがった。


お読みいただきありがとうございます。

皆様の応援が、執筆の糧です。


もう少し下へスクロールしていただき、

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そうそう、そこそこ。ありがとうございます!


感想はもちろん、

舞台となる岡山・香川の旧跡・名所のリクエストもお待ちしております。


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