第十一話/三月二十一日/七瀬③
“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”
佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。
圧倒的な祈りの力、法力を伴って……
千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。
弘法大師『空海』・・・真魚
吉備の鬼神『温羅』・・・みさき
『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶
空海を追う『摩』法少女・・・七瀬
四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――
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岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。
小旅行気分でお読みください。
弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。
また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。
善通寺の南大門に黒塗りが横付けされる。
門を抜けると、威容を放つ老楠の巨木が街路灯の光を浴びて、不気味に枝を伸ばしていた。
その奥に荘厳な金堂が姿を現す。
しかし、圧倒的な法力を放っているのは、金堂の手前に悠然とそびえる五重塔だった。
それも最上階だろう。
橋から見た法力の渦が屋根の先の相輪を伝い、天へ向かって立ち昇っている。
その異様さに思わず立ち止まり、息を呑んだ。
五重塔の扉は閂が外され、誘うようにぽっかりと口を開けている。
軒下には魔除けの邪鬼像が睨みを利かせていた。
扉をくぐると暗闇が広がっている。
ペン型のライトを取り出し、両手を自由にするため口へ咥えた。
古びた木製の階段が照らしだされる。一段一段、竦む足へ命令するように踏みしめた。
気配を消そうと試みるが、逸る気持ちがそれを許さない。
階段を繰れば繰るほどに、力の波動がその強さを増した。
まるで刑場に向かう囚人のようだ。
気が狂いそうになる。
五階まで上がりきると、引き戸の隙間から明かりが洩れ出ていた。
この先にいる。
霊刀を包んでいた布袋を床へ放り、鞘から静かに抜きとった。
引き戸に手を掛け、ゆっくりと開く――。
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