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第十一話/三月二十一日/七瀬③

“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”

佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。

圧倒的な祈りの力、法力を伴って……


千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。


弘法大師『空海』・・・真魚

吉備の鬼神『温羅』・・・みさき

『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶

空海を追う『摩』法少女・・・七瀬


四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。

小旅行気分でお読みください。


弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。

 また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。


善通寺の南大門なんだいもんに黒塗りが横付けされる。


門を抜けると、威容を放つ老楠ろうくすの巨木が街路灯の光を浴びて、不気味に枝を伸ばしていた。

その奥に荘厳な金堂が姿を現す。

しかし、圧倒的な法力を放っているのは、金堂の手前に悠然とそびえる五重塔だった。

それも最上階だろう。

橋から見た法力の渦が屋根の先の相輪そうりんを伝い、天へ向かって立ち昇っている。

その異様さに思わず立ち止まり、息を呑んだ。

五重塔の扉はかんぬきが外され、誘うようにぽっかりと口を開けている。

軒下には魔除けの邪鬼じゃき像がにらみを利かせていた。


扉をくぐると暗闇が広がっている。

ペン型のライトを取り出し、両手を自由にするため口へくわえた。

古びた木製の階段が照らしだされる。一段一段、すくむ足へ命令するように踏みしめた。

気配を消そうと試みるが、はやる気持ちがそれを許さない。

階段を繰れば繰るほどに、力の波動がその強さを増した。

まるで刑場に向かう囚人のようだ。

気が狂いそうになる。

五階まで上がりきると、引き戸の隙間から明かりが洩れ出ていた。


この先にいる。


霊刀を包んでいた布袋を床へ放り、鞘から静かに抜きとった。

引き戸に手を掛け、ゆっくりと開く――。


お読みいただきありがとうございます。

皆様の応援が、執筆の糧です。


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感想はもちろん、

舞台となる岡山・香川の旧跡・名所のリクエストもお待ちしております。

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