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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第三章 Diabolous in Musica/音楽に潜む悪魔
142/144

142 tr35, baby I'm your nightmare/ベイビー、悪夢が来たぜ

言葉の違いで辛うじてジャガイモ頭を免れたトヴァのおっさん。


「ここからは日本語で話しましょう、ケインさん転移者でしょ?

西暦何年から来ましたか?」

「西暦2022年だ」

「ずいぶん最近ですね、私は1988年、バブル景気真っただ中の商社マンですよ。

 転移されてきた頃は何と悔しかったか不幸だと感じたか、何で私が、仕事が金が残ってるじゃないか!と。

 あんなに働いて儲けてたのに、なんで急に自分だけこんな中途半端なつまらない時代に来てしまったんだ、ってね。

もう30年以上たって、とうに諦めもつきましたがね…ああ、女好きはポーズです、恥ずかしながら、もうしばらく男性としての機能は果たせません。

 彼女の事は安心してください、魅力的な女性ではありますが、私には過ぎたる性分です。


 後から来た人から聞いた話では、向こうもあまり良くないようですね。

 ある意味社会的経済では、絶頂のころにこちらに来られたのかもしれません。

 私も反省の余地は大いにありますが、経済や性欲だけが人間の本分じゃあありません。

 私には兄がいたから残された家族は何とかなっているでしょうが、結婚していたり子供がいたり、 あるいは本人が子供だったりと、転移も転生も皆さん見ていて気の毒です。

 最近の男の子なんて「チートだ無双だヒャッハー!」など最初だけ大はしゃぎですよ、ほんとに最初だけ。

 女の子はもっと酷くて「私は悪役令嬢!」「私は聖女!」など、身分も何もない自らの現実を受け入れられない娘のなんと多い事か…。

 待ち受けているのは向こうの世界よりも過酷な現実、遅れた文明、本来の意味での自己責任、一切付与などざれない情け容赦のない実力なんです。

 結局、どこにいっても自分の心の持ちようなんですよ。


 あなたも、向こうに残した家族がどうなっているか気になるかと思いますが…今のところ、ロマの間ではいわゆる我々の出身たる資本主義社会の情報を得るすべはありません。

 ちなみに転生者たちの話を総合すると、向こうとこちらはほぼ同じ年月日のようです。

 30年以上たった私なぞ届出失踪の上抹消でしょうね…ハハハ。


 この世界で私もロマの座を借りた転生者たちに拾われて、世界情勢の話を聞いて、ロシア語専攻だった私は敢えてルスカーヤ担当を志願しました。


 ケインさん、あなたはまだ若い。

 私の様なもう還暦を迎えるような老いぼれとは違って、貴方の様な、もしかしたら元の世界とつながりを持っているかもしれない人間は世界中を旅して帰還の手掛かりを探すべきです。

 帰還できなくとも、情報を手に入れる手段があるだけでも、この世界に引っ張り込まれた転移者・転生者の希望になりうる。

 きっと、貴方には運命を動かす力がある、


 先ほど私がベタ褒めしたお嬢さん、私の言ったことに嘘偽りはありませんからね?

 彼女は美しい、そして若い。

 これから共に旅をするなら、沢山の困難を迎えるでしょう、そして、貴方もまた彼女に助けられる事が多いはず。

 お互いがお互いを助け合う、そんな関係が理想です。

 なんで自分だけ助けて…という考えは捨てなさい。


 彼女は未熟だが、未熟故に貴方もまた救われることも多いはずです。

 未完成だからこそ、疎かにしてはいけません。


 言葉もそう、行動もそう、身を立てる芸もそう、戦いのすべもそう、旅をするため知恵もお互いにもっと積むべきです。

 成熟しているがゆえにすべて解決できるとは限らないのも本当の事なんですよ。

 彼女には大変だが、たくさん経験してもらいましょう。

 一方でケインさん、あなたはこの旅で何を得たいんですか、よくよくお考え下さい」


「大道芸でこんな話する話とは思わなかった。

オレは…オレが何者なのか、知りたいんだ。

 なぜこんな身体で、こんなところに居る。

 知っての通り俺の身体はSSSEからの転移者だ、オレの意識で身体を操ることもできるし、元の身体の特殊な才能なのか電気を起こすこともできる。

 だが、頭の中身はアンタと同じ世界の人間、ただの一般人なんだ。

 SSSRの人間には何人かあったが、頭の中身が誰なのか、これにはさっぱり答えが出ねぇ。

 ロマには現状答えは無いと言っていたが、世界のどこかにヒントはあるはず。


身体とは、魂とは、自我とは。


 いつまでも追いかけて出る答えじゃない事も理解してる。

 幸い、この世界でこんなオレでも好いてくれる娘がいて、3年間のはお互い自分の事を頑張る約束をした。

まだ一年、もう一年だ。

これから、まだまだ旅を続けて答えを見出したい。

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